都道府県人口の推移
人口の少子化と高齢化がともに進み、人口全体が減少していく少子・高齢社会は、都道府県や市町村といった地域の規模が小さいところほど、その姿が顕著に現われる。
各都道府県の人口の推移をみると、国勢調査結果によると、1995(平成7)年から2000(平成12)年にかけて23道県で人口が減少している。
国立社会保障・人口問題研究所「都道府県別将来推計人口」(2002(平成14)年3月推計)によると、人口が減少する都道府県は今後とも増加を続ける。
2005年から2010年にかけては36道府県、2015(平成27)年から2020年にかけては滋賀県、沖縄県を除く45都道府県、2025年から2030年では46都道府県で人口が減少し、この時点で人口が増加するのは滋賀県のみである。
年少人口(0歳から14歳の人口)については、2000年と2030年を比較すると、すべての都道府県で減少する。総人口に占める年少人口割合も、全都道府県で低下する。
一方、老年人口(65歳以上人口)については、2020年まで全都道府県で増加する。
< 都道府県別増減率(2000年→2030年)>
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
人口の減少と高齢化の進展
14歳以下の年少人口が総人口に占める割合は、2000(平成12)年の14.6%から減少を続け、2020年頃には12%に達する。
その後も減少を続け、2050年には10.8%になるものと見込まれている。
少子化の進展とともに、人口の高齢化も急速に進んでいる。
すでにわが国は、2003(平成15)年10月の高齢化率(65歳以上人口が全体の人口に占める割合)が19%と、これまで高齢化が進んでいたヨーロッパ諸国と比較しても、最も高い部類に入っているが、将来推計人口によれば、2020年代には高齢化率が28〜29%と、10人に3人が65歳以上の高齢者となる超高齢社会を迎えることになる。
これは、2015(平成27)年前後までに、第1次ベビーブーム 期の世代が高齢者人口の仲間入りをすることにより、高齢者人口の一層の増大と高齢化率の上昇が引き起こされるからである。
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
自然減が始まり、続いていく
出生 と死亡の差である自然増加数は2003(平成15)年では10万8,659人であり、前年の17万1,476人よりも6万2,817人減少した。
自然増加率(人口千対)は0.9で、前年の1.4を下回った。
自然増加数及び自然増加率とも、人口動態統計を取り始めた1899(明治32)年以来、最低となった。
第1次ベビーブーム 期以降、1978(昭和53)年までは平均して毎年100万人を超える自然増があったことと比較をすると、隔世の感がある。
将来推計人口によれば、出生 数は2010年代前半に100万人を割り込み、2020年代には80万人台になる。
一方、死亡数は、今後とも増加し、2010年代には130万人台から140万人台へ、2020年代には150万人台から160万人台になる。
2006(平成18)年から、死亡数が出生 数を上回る自然減が始まり、2020年代には、年間の自然減が70万人台にもなる。
これは、毎年、現在の鳥取県または島根県1県分の人口が減少していくことを意味している。
わが国社会は、まもなく出産 の知らせよりも葬儀の知らせの方がはるかに多い時代を迎えようとしている。
人口減少社会の到来
少子化の進展は、わが国の社会経済にどのような影響を及ぼすことになるだろうか。
少子化の進展の最も大きな影響として、まず、わが国が、総人口が減少していく「人口減少社会」を迎えることになることがあげられる。
わが国の総人口は、2006(平成18)年にピークを迎え、2007(平成19)年からは減少に転じる。
総人口が減少するのは、近代的な人口統計が整備された1872(明治5)年以来、第2次世界大戦中の一時期を除いて、わが国にとって初めてのことである。
同研究所の推計では、2007年以降、人口減少率は徐々に大きくなり、2050年までに約2,700万人減少し、2050年の総人口は1億59万人になると見込まれている。これは、日本が初めて1億人を超えた1967(昭和42)年の水準に戻るということを意味している。
総人口が減少していくのは、合計特殊出生率が低水準で推移して出生 数が減少する一方で、人口の高齢化を反映して死亡数が増加しているからである。
合計特殊出生 率が1.29と過去最低を記録した2003(平成15)年では、出生 数は112万人であったが、死亡数は、101万人であった。
死亡数は、前年よりも3万2,572人増加した。死亡数は、1950〜80年代は70万人前後で推移していたが、1990(平成2)年以降は80万人以上となり、1995(平成7)年に90万人を超え、2003年には100万人を超えた。
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
親と同居する未婚者と少子化との関係
親と同居する未婚者の姿をみると、未婚者が親と同居生活を送っているからといって、自分の収入や時間をすべて自分のためにあてるといった「生活エンジョイ型」の生活を送っているわけでないことがうかがえる。
家事 については親に依存する割合が高いとはいえ、それなりに貯蓄をし、世帯の家計に対しても繰り入れを行っている。
データから平均的な姿をみると、「独身貴族」といった一般のイメージよりも、むしろ堅実な生活を送っているものといえる。
親からみても、未婚親族が同居することは、家計にとってメリットとなる場合もあり、未婚者が経済的に一方的に恩恵を受けているともいえない。
親と同居する未婚者の全体を「パラサイトシングル」でひとくくりにすることはできないものと考えられる。
親と同居する未婚者の増大は、親への依存という要素以外に、きょうだいの数の減少、親の希望、都市部では家賃等が高いという住宅問題、職場と自宅との近接、身体が弱った親の介護問題など、様々な要因があるものと考えられる。
少子化傾向に対する影響やその度合いについては必ずしもはっきりしない。
ただ、家事について親に依存したり、同居により生活費等の経済的メリットを受けたりしている人も多いと考えられることから、独立した生活への意欲を弱めている面があることは否定できない。
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
親と同居する未婚者の実態
総務省「国勢調査」によれば、2000(平成12)年の25〜39歳の未婚者数は、男性が約639万人、女性 が約431万人存在する。
このうち、親と子ども から成る世帯に所属する独身者数をみると、男性は約233万人(1990(平成2)年)から約323万人(2000年)へ、女性 は約142万人(1990年)から約251万人(2000年)へと増加しており、この10年間で、男性が約1.4倍、女性 が約1.8倍の増加となっている。
ただし、単独世帯に住む未婚者の増加と比較すると大きな違いはみられないことにも留意する必要がある。
それによると、全体の6割は20歳代であり、2割が30歳代となっている。
経済状況をみると、収入の平均値は、男性は約300万円、女性 は約220万円である。
未婚者と同居する親の世帯との関係をみると、全体の3分の2が世帯の家計に繰り入れをしており、年齢が高くなるにしたがい、繰り入れをしている割合が高くなる。
<年齢階級別繰入有無率と平均繰入額>
| 繰入の有無(%) | 平均繰入額 (千円) | |
| 19歳以下 | 48.3 | 13.6 |
| 20〜29歳 | 66.8 | 20.7 |
| 30〜39歳 | 74.7 | 37.7 |
| 40〜49歳 | 79.6 | 64.5 |
| 50〜59歳 | 78.9 | 79.5 |
| 60歳以上 | 87.0 | 75.4 |
| 総数 | 68.6 | 28.5 |
| 資料: | 国立社会保障・人口問題研究所「世帯内単身者調査」(2000(平成12)年) |
| 仕事 の有無 | 平日 | 休日 | ||||||
男性 | 男性 | |||||||
あり | なし | あり | なし | あり | なし | あり | なし | |
| まったくしない | 73.0 | 58.7 | 39.1 | 16.5 | 58.7 | 53.8 | 24.8 | 14.8 |
| 15分未満 | 9.7 | 9.0 | 16.0 | 7.4 | 9.4 | 7.2 | 12.0 | 6.1 |
| 15〜30分未満 | 6.1 | 6.3 | 17.2 | 7.4 | 8.1 | 4.9 | 14.0 | 7.8 |
| 30分〜1時間未満 | 4.1 | 5.8 | 15.7 | 17.0 | 6.3 | 5.4 | 20.3 | 17.8 |
| 1〜3時間未満 | 3.0 | 7.2 | 8.2 | 27.4 | 4.7 | 9.0 | 16.9 | 23.5 |
| 3〜5時間未満 | 0.1 | 1.3 | 1.3 | 8.7 | 1.3 | 0.9 | 3.2 | 9.6 |
| 5〜8時間未満 | 0.0 | 0.0 | 0.3 | 3.9 | 0.2 | 0.4 | 0.8 | 3.9 |
| 8時間以上 | 0.2 | 0.9 | 0.2 | 5.2 | 0.1 | 0.9 | 0.5 | 3.5 |
| 不詳 | 3.7 | 10.8 | 1.9 | 6.5 | 11.2 | 17.5 | 7.5 | 13.0 |
| 合計 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| (度数) | (1,549) | (223) | (1,417) | (230) | (1,549) | (223) | (1,417) | (230) |
| 資料:国立社会保障・人口問題研究所「世帯内単身者に関する実態調査」(2000(平成12)年) |
パラサイトシングルについて
成人の未婚者の中で20〜30歳代になっても親と同居を続けている人が多いことが、未婚化ひいては少子化を促進している要因として取り上げられることがある。
親との同居により、基礎的生活条件の一部を親に依存することにより、自らの所得を自分でできるだけ自由に使えることや、身の回りの雑事等に束縛されずに自由なライフスタイルが取れるなどの利点が考えられ、いわゆるパラサイトシングルと呼ばれる。
こうした利点を享受していると、親元を離れて自立しようとする意識が薄れ、結婚 、独立した生活という行動をとることが少なくなるのではないかと指摘されている。
若年者の意識をみても、「親元を離れて暮らす」ことは青少年の成長や自立のために必要かどうかという問いについて、現在、「必要だと思う」との回答割合が低下している傾向がある。
低い賃金収入
就業形態 による違いは、賃金の差につながる。
60歳まで年齢区分ごとに、一般労働者とパートタイム 労働者における賃金比較を行うと、年齢が高くなるに従って、差が大きくなることがわかる。
パートタイム 労働者の賃金は20歳代以降の伸びが鈍く、とりわけ女性 では、賃金のピークに当たる年齢が20歳代後半となっており、一般労働者よりも早い。
フリーターの就業形態 のひとつとしてパートタイム 労働を想定し、若年者による比較として、20歳代及び30歳代におけるパートタイム 労働者と一般労働者との賃金比較を行うと、20歳代における一般労働者の場合では年収が男性で約3,700千円、女性 で約3,100千円であるのに対し、パートタイム 労働者では男性で約1,100千円、女性 で約1,150千円となる。
30歳代でみると、一般労働者では、男性で約5,300千円、女性 で約3,800千円に対し、パートタイム 労働者では男性で約1,550千円、女性 で約1,200千円と、ほぼ3倍程度と差が大きい。
児童 のいる世帯における1人当たりの年所得をみると、約160万円程度となっていることから、親子 3人家族 で500万円程度の収入を標準とした場合、フリーターの年収では、結婚 して家庭 を持つことは相当に厳しいといえる。
また、こうした所得や、不安定な就労条件 等が、男性の場合において、自身に関するマイナスの評価につながっているとの指摘がある。
内閣府「若年者の意識実態調査」(2003(平成15)年)によれば、フリーターの約7割は正社員 を希望している。
< 従業上の地位別未婚率>
増大する若者の一時就業
フリーターの増加は、若者の結婚 に対して、主に経済的な側面からのマイナス要因としてとらえることができる。
フリーターの経済状況をみるため、若者の就業 形態と賃金についてみてみる。
総務省「国勢調査」(2000(平成12)年)によると、未婚の就業者数は、男性で約776万人、女性 で約599万人となっている。
年齢階級別に従業形態の割合をみると、男女ともにどの年齢階級においても一般労働者が多く、概ね8割を超えているが、20〜24歳についてみると、男女ともにパートタイム雇用の割合が目立って多く、2割近くとなっている。
なお、この割合は男女ともに年齢が上がるにつれ低下している。
このように、一般労働者の割合が依然高いものの、大学卒であっても、一時的な仕事に就く者が急激に増加するなど、パート タイム雇用への就業 は、今後も一層進むものと思われる。
経済的に不安定な若者の増大
20〜30歳代前半の若者の中で、結婚 しない理由として「結婚 資金が足りない」(出生 動向基本調査)や「金銭的に余裕がない」(国民生活白書)をあげる人がいる。
特に、女性 よりも男性の方が、こうした理由を回答する割合が高い。
1990年代以降の経済の長期停滞の中で、企業のリストラや労働 費用の削減、パート や派遣 労働等の雇用形態 の多様化が進み、若者を取り巻く雇用 環境は厳しさを増している。
労働力 調査によれば、2003(平成15)年のわが国の失業率は5.3%であるが、15〜19歳では11.9%、20〜24歳では9.8%と、中高年層に比べても高い水準となっている。
特に、雇用形態 の多様化は、求人 に占めるパートタイム 雇用の割合を増加させ、これまでのところ、若者が安定した就業 を得る機会を狭めてきている。
若者の失業率の上昇と親と同居する子ども
一定以上の収入がなければ、結婚 して安定した生活を送ることは難しい。
しかし、1990年代以降の経済の長期停滞の中で、10〜20歳代の若者の失業率が最も高い状況にあり、若者の将来不安を高めている。
若年失業者やフリーターの増大など、若者が社会的に自立することが難しい社会経済状況がある。
こうした若者の経済的不安定が、結婚 や子ども の出生 に影響を与えていると指摘されている。
また、親と同居する未婚者(いわゆるパラサイトシングル)が数多く存在するが、親元に同居し基礎的生活コストを親に支援してもらいながら自らの生活を楽しむというライフスタイル が、未婚化を進展させているという指摘がなされている。
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
地域社会のネットワーク
子育て は父母 その他の保護者が第一義的責任を持つものである。
また、子育て は次代の担い手を育成する営みであるという観点から、子育て家庭 が安心と喜びをもって子育て にあたれるよう社会全体で支援することが求められている。
今日、地域社会でも、子ども の数が減少したり、高齢化が進んでいたりしていることなどから、地域社会が果たす機能や助け合いのネットワークが弱体化しているとの指摘がある。
子育て をめぐる環境の大きな変化から、家庭 のみでは子育て を負い切れなくなった現状を踏まえ、地域社会において「新たな支え合いと連帯による子育て 支援」の体制の構築が求められている。
内閣府「少子化対策に関する特別世論調査」(2004(平成16)年)によれば、地域社会における住民同士の助け合いとして、次のような活動が期待されている。
「子育て に関する悩みを気軽に相談できるような活動」(52.3%)、「子育て をする親 同士で話ができる仲間づくりの活動」(41.3%)、次いで「不意の外出の時などに子ども を預かる活動」(31.8%)、「子育て に関連した情報を簡単に入手しあえるような活動」(31.8%)となっている。
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
シニア世代の役割
結婚 にあたって夫妻 のそれぞれの親との同居を敬遠する傾向があるが、国立社会保障・人口問題研究所「第12回出生 動向基本調査」(2002(平成14)年)によれば、夫婦 と両親の同居の有無別に平均出生子ども 数を比較した場合、妻 もしくは夫の両親(1人の親の場合も含む)と同居の場合では、平均子ども 数が2.37人であるのに対して、両親と別居している場合には2.16人と、両親同居の場合のほうが高い数字となっている。
夫婦 の出生 力に対して、親との同居はプラスの影響を及ぼしている。
さらに、同調査では、同居、別居にかかわらず、妻 の出産 後の就業 継続についても、夫妻 の母親 からの育児 援助が大きな役割を果たしていることを指摘している。
出生 力の回復や子育て において、祖父母 の役割、いわゆるシニア世代の役割が重要となっている。
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
家庭や地域の子育て力の低下
父親に対して、子育て の優先度を、仕事 等との比較で聞いてみると、希望としては「仕事 等と家事 ・育児 を同等に重視」が51.6%と最も高い割合である一方、現実では「どちらかと言えば仕事 等が優先」が52.7%となり、仕事 重視の傾向が強いことがうかがわれる。
こうした家庭 よりも職場 優先・経済優先の風潮などから、子ども に対し時間的・精神的に十分向き合うことができていない親 、無関心や放任といった極端な養育態度の親 などの問題が指摘されている。
子どもの親がその役割を十分担うことができるように、職場をはじめ社会が応援する風土や意識が求められている。
家庭 において夫婦 が子育て の喜びを共有することで、親 から子 へ子育て の喜びや楽しさが伝えられることにもつながる。
労働時間の見直しは、親 が子ども と一緒に過ごす時間、言い換えれば妻 も夫も子育て にあてる時間をより多く取れるようにすることであり、仕事 と育児 のバランスを得ることによって、家庭 の子育て 力を回復させることにもつながるものである。
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
育児に対する孤立感や疲労感、自信の喪失
家庭 は、子ども が親 や家族 との愛情によるきずなを形成し、人に対する基本的な信頼感や倫理観、自立心などを身に付けていく大事な場である。
ところが、3世代同居世帯が多く、子ども 自身もきょうだい数も多く、地域社会でも子どもたちの数が多かった時代と比較をすると、家族 規模が縮小し、親と子 の核家族世帯が中心で、しかも大都市部のように隣近所に誰が住んでいるのかよくわからないような現代社会では、家庭 の子育て 力や地域社会の子育て 力は、以前よりも低下しているものと考えられる。
乳幼児 を抱えた若い夫婦 が、周囲から適切な支援を受けられない場合には、特に母親 が育児に対して孤立感や疲労感をいだき、場合によっては育児 ノイローゼや児童虐待等の望ましくない結果を引き起こすこともあるだろう。
財団法人こども 未来財団の世論調査によると、いわゆる専業主婦の方が共働き 世帯の妻よりも、子育て に対する負担感を感じている人が多い。
厚生労働省「21世紀出生 児縦断調査」(第2回:2002(平成14)年度、対象児年齢1歳6か月)では、「子ども を育てていて負担に思うこと」を尋ねた結果、「自分の自由な時間が持てない」(63.7%)、「子育て による身体の疲れが多い」(39.3%)、「目が離せないので気が休まらない」(34.1%)の順となっている。
これを、母 の就業別にみると、職に就いている場合よりも「無職」(専業主婦)の方が割合が高くなっている。
こうした結果の背景には、夫や他の家族、あるいは外部からの支援が得られないまま、24時間乳幼児と向きあって、心身両面で育児に追われる妻の姿がうかがえる。
日本では、父親が育児 にかける時間が他の先進国と比較して突出して少ないことが指摘されており、妻の就労の有無にかかわらず、父親が親としての役割を積極的に果たすことが、子育て 家庭の育児 ストレスや不安の解消のみならず、子ども の健全な育ちのためにも重要になっている。
<子育て の負担感の状況>
<子育て の負担感の状況>
また、厚生労働省「全国家庭 児童調査」(1999(平成11)年)において、家庭 養育上の問題について尋ねると、「問題がある」と回答した親のうち、「親類や近所づきあいが乏しい」(1989(平成元)年と1999年を比較すると、8.2%から13.0%へ)、「子育て と社会参加の両立 が難しい」(同じく11.3%から15.3%へ)、「しつけや子育て に自信がない」(同じく12.4%から17.6%へ)などが増加しているように、子育て に関する地域内のコミュニケーションが進んでいない傾向がみられ、あるいは、しつけや子育て に自信が持てない親が増加している。
こうした状況から、子育て に関する孤立感が深まり、子育て そのものが親にとって過度の負担となるとき、育児 ノイローゼなどにつながるものと考えられる。
<父母の状況別にみた家庭 養育上の問題>
| 父母の状況 | 総数 | 問題がある | 問題はない | ||||||||
| しつけや子育てに自信がない | 親(保護者)と子の接触時間が不足している | 養育費に困っている | 親類や近所づきあいが乏しい | 子育てと社会参加の両立が難しい | 家族の協力が得られない | 住宅が狭い等居住環境に悩んでいる | その他 | ||||
| 1989年(平成元) | 100.0 | 46.7 | 12.4 | 16.9 | 5.1 | 8.2 | 11.3 | 2.3 | 14.2 | 2.5 | 53.3 |
| 1994(平成6) | 100.0 | 55.3 | 14.7 | 17.5 | 8.4 | 12.0 | 14.7 | 3.6 | 18.8 | 3.8 | 44.7 |
| 1999(平成11) | 100.0 | 58.5 | 17.6 | 19.9 | 12.1 | 13.0 | 15.3 | 4.1 | 17.8 | 3.5 | 41.5 |
| 資料: | 厚生労働省「全国家庭児童調査」(1999(平成11)年) |
| 注: | 家庭養育上の問題は複数回答である。 |
児童 虐待という深刻な事態も増加しており、児童 虐待に関する相談処理件数は、1993(平成5)年度で1,611件であったものが2003(平成15)年度では26,569件に増加している。
< 虐待に関する相談処理件数の推移>
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
家事・育児にかける時間
子ども のいる世帯の夫と妻 の家事 ・育児 にかける時間についてみてみよう。
6歳未満の子どものいる世帯における家事 ・育児 等の家事関連時間について夫婦 で比較すると、平日の夫の家事関連時間は21分と、有業女性 の5時間に比べて15分の1程度、土・日曜日でも5分の1程度にすぎない。
また、6歳未満の子ども のいない世帯の夫でも、平日で8分となっており、男性の家事関連時間はきわめて短いことがわかる。
合計 | 介護・看護 | (参考)仕事 | |||||
| 6歳未満の子ども がいる世帯 | 平日 | 夫(有業) | 0:21 | 0:04 | 0:01 | 0:16 | 9:17 |
妻(無業) | 8:30 | 4:30 | 0:04 | 3:56 | 0:01 | ||
妻(有業) | 5:00 | 3:04 | 0:04 | 1:52 | 4:32 | ||
土曜日 | 夫(有業) | 0:55 | 0:12 | 0:01 | 0:42 | 5:09 | |
妻(無業) | 7:08 | 3:55 | 0:03 | 3:10 | 0:01 | ||
妻(有業) | 5:26 | 3:25 | 0:03 | 1:58 | 2:04 | ||
日曜日 | 夫(有業) | 1:06 | 0:15 | 0:01 | 0:50 | 2:25 | |
妻(無業) | 6:03 | 3:23 | 0:02 | 2:38 | 0:01 | ||
妻(有業) | 4:58 | 3:09 | 0:03 | 1:46 | 0:57 | ||
| 6歳未満の子ども がいない世帯 | 平日 | 夫(有業) | 0:08 | 0:06 | 0:01 | 0:01 | 8:23 |
妻(無業) | 5:50 | 5:28 | 0:10 | 0:12 | 0:04 | ||
妻(有業) | 3:37 | 3:27 | 0:04 | 0:06 | 5:19 | ||
| 資料:総務省統計局「社会生活基本調査」(2001(平成13)年) |
仕事 にかける時間とのバランスをとりつつ育児 にかける親の時間を増やすこと、とくに、男性(父親)の育児 時間を増やすことが、女性 (母親 )の負担軽減、ひいては出生 率の回復や健全な子育て に資するものと考えられる。
(平成16年版 少子化 社会白書より抜粋)
ワークライフバランス
理想の子ども 数を持たない理由として、夫の家事 ・育児 への協力が得られないから、と回答する妻も1割以上存在する。
育児 の心理的・肉体的負担の軽減にあたっては、夫婦 がお互いに育児 の負担を分かち合えるよう協力しあうことが重要である。そのためには、仕事 と家庭 に時間をどう配分するか(ワークライフバランス )が親にとって、大きな問題となってくる。
週当たり労働時間をみると、男性は49.6時間、女性 は35.3時間となっている。
子育て 期・子ども が就学期にあると考えられる25〜49歳について、年齢階級・労働時間階級別にその分布をみると、4割強の男性で週当たり労働時間が49時間以上であり、特に2割程度が週60時間以上の労働時間となっている。
とくに子育て 期にある30歳代では約4分の1が週60時間以上も就業している。こうした過重な労働時間が、育児 に時間を配分することを阻害していることは想像に難くない。
女性 では、年齢が上がるにつれて、週30時間未満の短時間就労 の者の割合が上昇し、35歳以上で3割以上に達しているが、その一方で、週40時間以上の労働時間について、30歳代以降は20歳代に比べて割合は低くなっているものの、60歳未満までみると、総じて5割近くとなっている。
(平成16年版 少子化 社会白書より抜粋)
教育費用負担
野村證券「第8回家計と子育て 調査」(2003(平成15)年)によると、教育 費は、子育て 費用(教育 費、医療費、食費、被服費の他、こづかい、子ども のための保険など子ども のための支出全般)の38%を占めている。
母親 の年代別にみると、年齢層が上がるほど、教育 費の割合が高くなる傾向があり、40代以上では、平均46%となり、子育て 費用の半分は教育 費となっている。
具体的な教育 費用負担を文部科学省の統計からみると、1年間の教育 費(学校教育 費、学校給食費、塾や習い事などの学外活動費の合計)は、幼稚園 では、公立で約23万円、私立では約52万円、小学校では公立で約29万円、中学では、公立で約44万円、私立で約123万円、高校では、公立で約53万円、私立で約103万円となっている。
仮に物価水準の変化などを無視して計算すると、幼稚園 から高等学校まですべて公立に通った場合では14年間で約511万円、幼稚園と高等学校で私立に通った場合は約720万円、小学校以外すべて私立に通った場合は約959万円かかる。
これに加えて大学(昼間部)に進学した場合には、大学生の学生生活費(学費と生活費の合計)が、国立で約159万円、私立で約215万円、全平均で年間約202万円かかることになる。大学4年間では、平均で約807万円かかる。
以上を合計すると、幼稚園から高等学校まで公立で、大学のみ国立に通った場合には、約1,147万円かかる。仮に、小学校だけ公立で、あとはすべて私立とすると、約1,817万円かかることになる。
(平成16年版 少子化 社会白書より抜粋)
子育て費用負担
子育て にかかる費用はどのくらいになるのだろうか。
厚生労働省「21世紀出生 児縦断調査」によると、子ども が6か月児のときの調査(第1回調査:2001(平成13)年度)では、月額で平均4.1万円かかっている。
ただし、多いのは1万円(全体の32.0%)及び2万円(全体の28.2%)で、これらで全体の6割を占める。
また、子ども1人のみの場合には平均5万円で、2人(平均3.2万円)、3人(平均3.4万円)の場合よりも高い。
1歳6か月児になったときの同調査(第2回調査:2002(平成14)年度)でも、平均は月額2.8万円である。
最も多いのが1万円(全体の39.5%)、次いで2万円(全体の20.8%)となっている。
世帯の年収が上がると高くなり、たとえば800万円以上の年収の世帯では、月額5.5万円以上が22.1%の高率となっている。
保育料 徴収規準額表(2003(平成15)年度)によると、世帯の所得段階により、3歳未満児の場合には月額0円から8万円まで、3歳以上児の場合には月額0円から77,000円まで設定されている。
厚生労働省「地域児童福祉事業等調査」(2000(平成12)年)によれば、児童 1人の世帯における保育料 は、月額1万円未満が21.8%、1〜2万円が22.1%、2〜3万円が32.4%、3〜4万円が14.4%、4万円以上が9.4%となっている。
また、認可外保育 施設を利用した場合には、保育所 よりも保育料 負担が重く、全体の約6割は月額3万円以上となっている。
(平成16年版 少子化 社会白書より抜粋)





















