2008-03

東京都世田谷区における取組

東京都23区の中で最も人口の多い世田谷区(約80万人)の合計特殊出生率 (注)の推移をみると、1989(平成元)年の1.00から2002(平成14)年には0.77まで低下し、東京都の合計特殊出生率 1.02(2002年)に比べても特に低くなっている。

理由としては、大学生や独身の勤め人等が多く、また、社会的流出入が頻繁であるためと考えられる。


同区は、分散していた子ども 関連の組織をまとめ、増加する待機児の対策や幼保一元化など、次代を担う子ども に関する施策を総合的に進めるため、こども 部を設置した(2004(平成16)年4月)。

23区の中でも、子育て 支援に力を入れており、学童 クラブと放課後遊びが一緒になった新BOP(Base Of Playing)の小学校 全校実施や、中学校校舎での保育園 の分園、認証保育所 の開設などを全国に先駆けて行っている。


児童館 (25館)では、身近な地区での子育て 支援の拠点として、子育て ひろば事業を実施している。

年間を通して0歳からのひろば活動やサークル活動、子育て 講座等を実施し、安心して楽しく子育て ができるよう支援事業を展開している。


2004年4月には、子育て 中の保護者にとって身近で安心な総合案内を目指し窓口を一本化した「子ども 総合案内窓口」を開設し、子育て に関する疑問や不安に対して、より身近なところで相談・支援等を行えるよう、関係機関との連携を図っており、利用者に好評を得ている。


世田谷区社会福祉協議会における「子育て サロン」(58か所)では、「楽しく・気軽に・無理なく」を基本に、地域の子育て 経験者や子育て 中の親が、自宅や地域支えあい活動専用拠点などを会場として、週1回から月1回程度集まり、親子 で遊んだり、育児 の相談をしたりと母親の育児 不安や社会的孤立の解消を目指している。

「ふれあい子育て 支援」は子育て の援助を受けたい人と援助を提供する人の登録制の支援事業であり、2004年3月の登録者は、利用会員1,497人、援助会員722人となっている。


さらに、民間の子育て 支援団体等との協働により子育て 支援の団体や個人が一堂に会して情報交流を図るメッセの開催など様々なしくみにより、行政と区民が手を携えた、「子育て 支援・先進都市せたがや」を目指している。




(注)本文中の合計特殊出生 率は、東京都においては、「東京都衛生年報」(東京都健康局)を参照し、世田谷区においては、同区より聴取したものである。


(平成16年版少子化社会白書より抜粋)


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市区町村における出生率の地域格差

全体的な出生 率低下の中で、1990(平成2)年から2000(平成12)年の10年間で出生 率が上昇していると推定される市区町村が約330あり、その中で、人口規模が1万人以上の自治体は70弱ある。

そこで、出生 率が上昇している5つの自治体(兵庫県五色町、愛知県日進市、静岡県長泉町、秋田県鹿角市、香川県白鳥町)と同じ県にあって低下している5つの自治体を比較調査対象とした「出生 率の地域格差に関する研究」(財団法人こども未来財団の「平成15年度児童 環境づくり等総合調査研究事業」)によると、興味深い結果があらわれている。


それによると、出生 率が上昇している地域においては、次のような特徴がある。


〔1〕人口増加あるいはその努力を行っている自治体であること。

自治体内あるいはその周辺部で経済活性化があり、自治体主導あるいは市場を通して若年夫婦 向けの良好な住宅が供給されることで、家族形成期の人々の転入がみられ、地域の未婚化傾向に抑止効果が働いていること。


たとえば、五色町(合計特殊出生率が1990年の1.72から2000年には1.82に変化)は、「健康・福祉」、「情報化」施策が全国的に高い評価を受けており、企業誘致や若者定住団地の建設を行いつつ、分譲地を購入して自宅を建設、住民票を移した場合に給付金支給等の施策を講じている。



〔2〕地方自治体が地域の実情にあった育児支援 策を実施しており、育児支援 ニーズに的確にこたえる姿勢があること。


たとえば、日進市(同1.40から1.42に変化)の場合、子ども の数の増大に対応して保育 所の定員数や職員数を増やし、待機児童 が出ないようにするほか、ほとんどの幼稚園 では、17時から18時頃まで時間延長を行っている。



〔3〕地域の人々は、それらの育児支援制度や施設を積極的に活用し、その地域を子育てしやすい環境としてとらえられていること。


たとえば、長泉町(同1.62から1.72に変化)の場合、企業誘致が進んだことから職住接近の生活が可能となっており、保育所幼稚園 への送り迎えが容易となっていることや、乳幼児医療費が就学前まで無料であることや保育所の入所待機児童を出さない対応などから、近隣と比較して子ども を育てやすいというイメージを確立しつつある。


この研究によれば、地域経済の特性や地域社会の地理的条件、さらには経済政策や住宅施策等によって、就業機会 が左右され、人口増減が生じるが、基本的に20代、30代という家族形成期の人口を吸引する地域社会としての力があれば、未婚率の上昇が抑えられ、そこに適切な育児支援 策が投入されれば、出生率 は上昇する。

したがって、地域社会の活性化とともに、地域住民のニーズにあった次世代育成支援の充実が、出生率 回復のポイントである。


(平成16年版少子化社会白書より抜粋)

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市区町村人口の推移

このまま少子化が進んだ場合、市区町村レベルにおいては、将来人口はどのように変化するだろうか。


国立社会保障・人口問題研究所「日本の市区町村別将来推計人口」(2003(平成15)年12月推計)によると、全国の人口が今後減少することが見通される中、人口減少自治体は、今後とも増加し、2005(平成17)年から2010(平成22)年にかけては2,540自治体(78.3%)、2015(平成27)年から2020年にかけては2,918自治体(89.9%)、2025年から2030年にかけては3,091(95.3%)の自治体で人口が減少する。


2000(平成12)年の人口を100とした指数でみると、2015年には78.2%の自治体で人口が減少する。

2030年についてみると、人口が増える自治体は431(13.3%)であり、残りの2,814自治体(86.7%)では人口が2000年よりも減少する。

その内訳をみると、2割以上人口が減少する自治体が1,817で過半数(56.0%)を占めている。

2030年の人口が2000年の半分以下になってしまう自治体が158(4.9%)ある。人口規模が小さい自治体ほど人口減少がより一層進む傾向にある。

地域ブロック別にみると、北海道、東北、中国、四国では、9割以上の市町村で人口が減少する。

 

<市区町村人口の変化>



人口減少を受けて、2030年には、5千人未満の人口の市町村の割合が高まり、北海道では6割、中国地方では5割にもなるなど、自治体の規模が縮小し、小規模市町村が増加すると推測されている。

また、人口の年齢構造の変化も進み、年少人口割合10%未満の自治体は、この間に3.1%から31.3%へ著しく増加し、特に北海道、中国、四国地方でこの割合が低い自治体が多いが、他の地域においても同様の傾向がみられるようになる。

 
<人口規模別市区町村割合(2000年→2030年)>



全国の年少人口は、2000(平成12)年の14.6%から2030年の11.3%に低下すると予測されているが、大多数の自治体(3,221自治体、全体の99.3%)で、2000年から2030年にかけて年少人口が減少し、年少人口割合も低下する。

<地域ブロック別年少人口割合10%未満の市区町村数割合の推移>
(%)
 
2000年
2015年
2030年
北海道
4.7
27.4
55.2
東北
1.6
14.5
29.0
北関東
3.0
10.5
21.7
南関東
5.2
13.1
39.9
北陸
0.9
12.6
28.8
中部
2.9
13.1
26.2
近畿
0.9
12.7
18.3
中国
5.7
27.0
46.5
四国
10.6
31.5
53.7
九州・沖縄
0.7
11.2
20.0
全国
3.1
16.2
31.3
資料: 国立社会保障・人口問題研究所「日本の市区町村別将来推計人口(平成15年12月推計)」



<年少人口割合別市区町村の構成比>



一方、2000(平成12)年から2030年にかけて、全国の老年人口(65歳以上)は増加し、3,232自治体(99.6%)で老年人口割合が上昇する。
この結果、老年人口割合(高齢化率)が40%以上の自治体が大幅に増加し、全体の3割を超えることが見込まれている。

 
<高齢化率別市区町村割合>


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