2008-03

低い出生率に対する危機感

結婚出産 は、個人の決定に基づくものであるので、出生率 の変化については、若者をはじめとする国民一人一人の意識や行動が深く関わっている。

結婚出産 についての個人個人の選択の結果、現在の少子社会になっている。

したがって、少子化の流れを変えるためには、まず国民の一人一人が少子化の現状をどう考え、どのように課題を認識しているかということが重要となるであろう。


内閣府の「少子化対策に関する特別世論調査」(2004(平成16)年)によると、2003(平成15)年で1.29というような低い合計特殊出生率 が続いていることについて、国民の約8割の人が危機感を感じている(「大変危機感を感じている」が42.1%、「多少危機感を感じている」が34.6%)。

年代別では、中高年において、危機感を感じている人の割合が高く、50代で83.2%、60代で79.7%、70代以上で75.6%である。一方、20代では60.1%と、他の年代よりも13〜23%ポイント低く、危機感を感じていないとする人も、17.3%と、他の年代よりも高い。


同世論調査において、少子化が与える影響については、「年金や医療費の負担など、社会保障に与える影響」を選択する人が最も多く、全体の71.9%、次いで、「労働力人口の減少など、経済活力に与える影響について」が50.6%、「子育て に対する負担や社会支援のあり方など、家庭 生活に与える影響」が33.1%となっている。


<低い出生率 が続くことでわが国の将来に危機感を感じるか>


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今後どのように推移するのか

近年の出生 数の推移をみると、2000(平成12)年に119万人と前年に比べてわずかに増加したのに対し、その後は、毎年2〜3万人減少しており、2003(平成15)年は112万人と戦後最低を記録した。

依然として、少子化傾向はとどまることがない。合計特殊出生率 も、中位推計で前提とした数値(2003年(1.32))よりも、現実の数値(同1.29)のほうが低く推移している。

2004(平成16)年においても、2004年1月から6月までの出生 届出数(人口動態統計速報平成16年6月)は、年間出生数が過去最低となった前年同期よりも約4,900人少ない状態にある。


出生率 の今後の変化については、晩婚化や未婚化の状況、夫婦 出生力(夫婦 の完結出生児 数の状況)などがどのように変化するのかということにかかっている。

これらの変化の背景には、育児と仕事の両立 の状況や、結婚出産 に対する価値観の変化、子育て 負担に対する対応や子育て支援 策の状況、若者の経済的安定の状態等、様々な要因が存在する。


これらの要因のうちいずれかが変化することにより、出生率 が変化することが予想されるので、前述した将来人口推計のとおり推移するものではない。

まもなく総人口が減少し、年少人口と生産年齢人口が減少しながら高齢者人口が増大するということは避けられない。


いずれにしても、上述のように2000年以降、現実の人口動向は将来人口推計(中位推計)を下回って推移しており、少子化の現状では厳しい状況ではあるが、今後少子化の流れがどのように変わり、どう反転していくのかについては、これからの少子化に対する取組如何や国民の意識・行動の動向にかかっている。

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低位推計の場合にはさらに人口減少が進展

低位推計の場合にはどのようになっているだろうか。


低位推計の場合には、1985(昭和60)年出生 コーホートの初婚年齢は、さらに晩婚化が進んで28.7歳、生涯未婚率は22.6%と5人に1人は50歳時点まで未婚、夫婦 の完結出生児 数は1.49人、この世代の平均出生児 数は1.12人と、いずれも中位推計よりも低い数値を設定している。

なお、この平均出生 児数は、全女性の4割が生涯子ども を生まないという数値である。


低位推計における合計特殊出生率 は、2000(平成12)年の1.36から低下を続け、2028年から1.10となり、2050年には1.10の水準となる。


低位推計における総人口は2004(平成16)年にピークを迎え、以後減少に転じ、2020年には12,161万人、2043年には1億人を割り込み、2050年には9,203万人と、現在より約3,560万人減となる。

なお、2100年の総人口は4,645万人と、現在の約3分の1になるという参考推計が示されている。

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将来人口推計の動向

今後、少子化はどのように進行していくのだろうか。


国立社会保障・人口問題研究所の最新の将来推計人口である「平成14年1月推計」では、1985(昭和60)年出生コーホート(1985年生まれの女性 )の結婚出生 行動に一定の仮定を置きながら、コーホート要因法1によって推計を行っている。




1 コーホート要因法とは、コーホート(ある年齢層のかたまり)ごとに、すでに生存している人口については将来生命表を用いて年々加齢していく人口を求めると同時に、新たに生まれる人口については、将来の出生率 を用いて将来の出生 数を計算してその生存数を求める方法。コーホート要因法を用いて将来人口を推計するためには、〔1〕基準人口、〔2〕将来の生残率(将来の平均寿命)、〔3〕将来の出生率、〔4〕将来の出生 性比、〔5〕将来の国際人口移動数(率)のデータが必要である。

出生 率の将来については、3つの仮定(中位、高位、低位)を設けている。中位推計は、出生 率の将来動向について、全国の平均的な結婚 行動及び出生 行動の傾向に基づいて設定され、高位推計は、未婚率が低い水準にある10県における傾向の平均に基づき、低位推計は、最も未婚率が高い東京都における傾向に基づいて設定されたものである。

一般に将来推計人口として利用されている中位推計では、1985年出生 コーホートでは、晩婚化が進み(平均初婚年齢が、1950(昭和25)年生まれの24.4歳に比べて27.8歳へ)、未婚化が進み(生涯未婚率が、1950年生まれの4.9%から16.8%へ)、夫婦 出生力も低下する(夫婦 完結出生児 数が、1948(昭和23)〜52(昭和27)年生まれの2.14人から1.72人へ)と仮定している。

このように、1985年生まれの女性 について、晩婚化の進展と夫婦 出生力の低下を見込み、さらに、6人に1人は50歳時点まで未婚という、高い未婚率を想定し、その結果、1985年生まれの全女性 の平均出生児 数は1.39人(1950年生まれの場合は、1.98人)と低い数値を想定している。
この世代の女性 の10人に3人は生涯子ども を生まないという推計になっている。
この結果、合計特殊出生率 は2000(平成12)年の1.36から2007(平成19)年の1.31まで低下し、その後上昇に転じて2024年からは1.38となり、2050年には1.39の水準に達する、と設定している。

以上の前提の下に、中位推計では、わが国の人口は2006(平成18)年にピークを迎えた後、減少に転じ、2020年には12,401万人、2050年には10,059万人と、現在(2003(平成15)年)よりも2,700万人減少するという推計となっている。
年少人口は、1,084万人(全人口の10.8%)と、現在の約6割になる。
一方、65歳以上人口は、3,586万人(全人口の35.7%)で、現在の1.5倍となる。
2050年の全国民の平均年齢は、51.3歳と、現在よりもさらに10歳も年をとる。
子ども の数が少なく、高齢者の数が大変多い「年老いた国」の姿が予想されている。

なお、2100年の総人口は6,414万人と、現在のほぼ半分になるという参考推計が示されている。

高位推計の場合には、1985年出生 コーホートの初婚年齢は27.3歳、生涯未婚率は13.3%、夫婦 の完結出生 児数は1.93人、この世代の平均出生 児数は1.62人と仮定している。
合計特殊出生 率は、2000(平成12)年の1.36から直ちに上昇に転じ、2030年以降1.625になると仮定している。
高位推計であっても、2050年の人口は10,824万人と、現在よりも約1,900万人減少する推計となっている。


<総人口の推移>


<合計特殊出生 率の推移>

<高位・中位・低位推計の概要>
 現在(2000年)の状況高位推計
(2050年)
中位推計
(2050年)
低位推計
(2050年)
合計特殊出生率
1.36
1.63
1.39
1.10
平均初婚年齢(女性
24.4歳
27.3歳
27.8歳
28.7歳
夫婦の完結出生 児数
2.14人
1.93人
1.72人
1.49人
生涯未婚率(女性
4.9%
13.3%
16.8%
22.6%
平均出生 児数
1.98人
1.62人
1.39人
1.12人
年間出生 児数
120万人
90万人
67万人
44万人
資料:「平成14年1月日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)
注1:上記2000(平成12)年の「平均初婚年齢(女性 )」、「夫婦 の完結出生児数」、「生涯未婚率(女性 )」及び「平均出生 児数」は1950(昭和25)年出生 コーホートの実績値に基づく。
 2:高位推計から低位推計までの各推計は、1985(昭和60)年出生 コーホートの仮定値に基づく。ただし、「合計特殊出生 率」及び「年間出生 児数」は、2050年の推計値。

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