新エンゼルプランの評価と新新エンゼルプランの策定
2004(平成16)年7月、総務省は「少子化対策に関する政策評価」として、新エンゼルプランを対象とした政策評価の結果を公表した。
これによると、新エンゼルプランの政策効果のうち、「仕事と子育ての両立 にかかる負担感」については、末子が6歳未満の児童 のいる世帯の母 の就業率 が上昇し、出産 ・育児 を理由とした離職者数(女性 )の割合は低下するなど、いまだ十分とはいえないものの、総じて緩和されてきている。
「子育て そのものの負担感」については、主に子育て に係る経済的な負担感が増大しているために必ずしも緩和されているとはいえず、また、専業主婦 は共働き家庭 の妻 に比べて子育て そのものの負担感が大きいとしている。
また、「出生数 ・合計特殊出生率 」については、低下の一途であり、このような結果については、そもそも子ども を持つことに対する個人の意識の変化を反映して理想の子ども 数が減少したなど、政策が実施されたとしてもその効果の発現をさまたげる外部要因が影響を与えているものと考えられる、としている。
また、20歳から39歳の男女6,000人に対して住民アンケートを行い、その結果に基づき、新エンゼルプランに掲げられている各分野及び分野ごとの各施策に関し、相対的に特に充実が望まれているものを指摘している。
分野については、「教育 に伴う経済的負担の軽減」が最も多く、次いで「仕事と子育ての両立 のための雇用環境の整備」となっており、「教育費以外の子育て に伴う経済的負担の軽減」という同プランに掲げられていない分野についてもその充実を望む者が多い結果となっている。
また、各分野の施策の中では、それぞれ「低年齢児保育 」、「育児休業給付金 額の充実」、「仕事 優先ではなく、仕事 と家庭 が両立 できる職場環境」、「休日・夜間の小児救急医療 」、「幼稚園 による子育て 支援」、「『生きる力』を育成する学校教育 」、「高校、大学進学の経済的負担の軽減」、「安心して遊べる遊び場 」が特に充実が望まれるという結果になっている。
新新エンゼルプランの策定にあたっては、こうした政策評価の結果も参考にしながら、2004(平成16)年末に向けて作成を進め、最終的には内閣総理大臣を会長とする少子化社会対策会議において決定することとしている。
こうして、少子化社会対策基本法の制定、少子化社会対策大綱の策定及びその具体的実施計画である新新エンゼルプランの検討により、わが国の少子化社会対策は、新たなステップを踏み出している。
<少子化社会対策の経緯について>
| 年次 | 合計特殊出生率 | 出生数 (千人) | 取組 | |
| 1990(H2) | 1.54 | 1,222 | 3月 | 「平成元年版厚生白書」(長寿社会における子ども・家庭・地域) |
| 6月 | 「1.57ショック」 | |||
| 8月 | 「健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議」の発足 | |||
| 1991(3) | 1.53 | 1,223 | 1月 | 同関係省庁連絡会議の報告 |
| 5月 | 児童手当法改正(翌年1月から第1子より支給) | |||
| 1992(4) | 1.50 | 1,209 | 4月 | 育児休業法施行(育児休業制度等の法制化) |
| ウェルカムベビーキャンペーン | ||||
| 9月 | 平成4年将来推計人口(1.80人) | |||
| 11月 | 「平成4年度国民生活白書」(少子社会の到来、その影響と対応) | |||
| 12月 | 厚生大臣主宰「子どもと家庭に関する円卓会議」 | |||
| 1993(5) | 1.46 | 1,188 | 7月 | 厚生省児童家庭局長の私的研究会「たくましい子ども・明るい家庭・活力とやさしさに満ちた地域社会をめざす21プラン研究会」報告 |
| 12月 | 「エンゼルプランプレリュード」策定 | |||
| 1994(6) | 1.50 | 1,238 | 3月 | 高齢社会福祉ビジョン懇談会「21世紀福祉ビジョン」 |
| 4月 | 「平成5年版厚生白書」 (未来をひらく子どもたちのために−子育ての社会的支援を考える−) | |||
| 7月 | 「こども未来財団」設立(こども未来基金) | |||
| 12月 | エンゼルプランの策定 | |||
| 緊急保育対策等5か年事業の策定(平7〜11年度) | ||||
| 1995(7) | 1.42 | 1,187 | 4月 | 育児休業給付の支給(賃金の25%)、育児休業中の健康保険、厚生年金保険の本人保険料負担の免除 |
| 10月 | 改正育児休業法施行(国等の支援措置の創設等) | |||
| 1996(8) | 1.43 | 1,207 | 5月 | 「平成8年版厚生白書」(家族と社会保障−家族の社会的支援のために−) |
| 1997(9) | 1.39 | 1,192 | 1月 | 平成9年将来推計人口(1.61人) |
| 4月 | 週40時間労働へ | |||
| 10月 | 人口問題審議会報告 | |||
| 1998(10) | 1.38 | 1,203 | 4月 | 改正児童福祉法の施行(保育所入所方法の見直し等) |
| 6月 | 「平成10年版厚生白書」 (少子社会を考える−子どもを産み育てることに「夢」を持てる社会を−) | |||
| 12月 | 総理主宰「少子化への対応を考える有識者会議」の提言 (「夢ある家庭づくりや子育てができる社会を築くために」 | |||
| 1999(11) | 1.34 | 1,178 | 4月 | 育児・介護休業法施行(深夜業の制限の創設) |
| 5月 | 「少子化対策関係閣僚会議」の開催 | |||
| 6月 | 「少子化への対応を推進する国民会議」の開催 | |||
| 7月 | 平成11年度第1次補正予算成立(「少子化対策臨時特例交付金」) | |||
| 12月 | 少子化対策推進基本方針の策定 | |||
| 新エンゼルプランの策定(平12〜16年度) | ||||
| 2000(12) | 1.36 | 1,191 | 4月 | 介護保険法施行、「国民的な広がりのある取組みの推進について」(少子化への対応を推進する国民会議)、育児休業中の厚生年金保険料の事業主負担分の免除 |
| 5月 | 児童虐待の防止等に関する法律の公布 | |||
| 6月 | 児童手当法の一部を改正する法律の施行(支給対象年齢を義務教育就学前までに拡大) | |||
| 2001(13) | 1.33 | 1,171 | 1月 | 育児休業給付の引き上げ(25%→40%) |
| 3月 | 社会保障改革大綱の策定 | |||
| 6月 | 児童手当の所得制限の緩和 | |||
| 7月 | 「仕事と子育ての両立支援策の方針について」(閣議決定) (保育所待機児童ゼロ作戦の推進等) | |||
| 11月 | 改正育児・介護休業法施行(休業に係る不利益取扱の禁止) | |||
| 2002(14) | 1.32 | 1,154 | 1月 | 平成14年将来推計人口(1.39人) |
| 3月 | 「少子化社会を考える懇談会」開催 | |||
| 4月 | 改正育児・介護休業法施行(時間外労働の制限等) | |||
| 9月 | 同懇談会中間取りまとめ | |||
| 厚生労働省「少子化対策プラスワン」策定 | ||||
| 2003(15) | 1.29 | 1,124 | 3月 | 少子化対策推進関係閣僚会議「次世代育成支援に関する当面の取組方針」 |
| 7月 | 次世代育成支援対策推進法及び児童福祉法の一部を改正する法律の成立 | |||
| 少子化社会対策基本法の成立(9月施行) | ||||
| 9月 | 少子化社会対策会議の設置 | |||
| 12月 | 少子化社会対策大綱検討会の開催(内閣府特命担当大臣等の関係閣僚及び有識者で構成) | |||
| 2004(16) | 5月 | 自由民主党少子化問題調査会「今後の少子化対策の方向について」(中間とりまとめ) | ||
| 6月 | 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」の策定 | |||
| 少子化社会対策大綱の策定 | ||||
| 児童手当法の一部改正(支給対象年齢を小学校3年生修了までに拡大、4月に遡って実施) | ||||






