2008-06

個別企業での取組事例

個々の企業においても、積極的な子育て 支援策への取組を行っている例が出てきている。

厚生労働省では、子育て 支援に熱心な企業に対して、毎年「ファミリー・フレンドリー企業」として表彰をしており、2005(平成17)年度までに270企業が表彰を受けている。

2005年4月から、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画が実施されていることを契機に、なお一層の取組を期待したい。

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コラム  経済・労働界における取組

○少子化への取り組みについて

日本経済団体連合会 少子化対策委員長 茂木賢三郎

 

日本経済団体連合会(日本経団連)はこれまでも、職場における子育て環境整備や仕事と家庭の両立支援などに取り組んでまいりましたが、平成17年5月には、少子化問題について様々な観点から検討する「少子化対策委員会」を新たに設置いたしました。

この委員会では、これからの人口減少社会に経済界としてどのように対応していくのかということとあわせて、わが国の今後の少子化対策に、国や地方自治体、地域社会、国民、経済界といった各主体が、それぞれどのように、何に重点を置いて取り組んでいくのか等々を検討し、意見をとりまとめる予定です。




○次世代育成支援対策推進法に基づく取組について
 仕事と生活の調和の実現と多様な人材資源を活かした経営の実践を目指して

経済同友会 代表幹事 北城恪太郎


少子化の進行により、企業は経営のあり方を見直す必要があります。

企業の社会的責任経営を推進している経済同友会は、一人ひとりの従業員が子供を育てながら同時にいきいきと仕事をすることができるワークライフバランス(仕事と生活の調和)に配慮した職場環境を整え、多様な人材を有効に活かす経営を実践することが重要と捉えております。

そのために我々企業経営者は、次世代育成支援対策推進法を積極的に活用していきます。




○日本商工会議所の少子化対策への取組みについて
 〜安心して子供を育てられる経済・社会環境の実現を目指して〜

日本商工会議所 会頭 山口信夫


少子化はわが国の将来を左右する基本的かつ最大の問題でありますので、今すぐ国を挙げてあらゆる実効性の高い少子化対策を講じる必要があります。

子供を持つことの経済的負担の軽減はもちろんのこと、国民の意識改革により子育てを社会全体で支える環境をつくっていくことが必要不可欠であります。

企業もその一環として、安心して子育て仕事が両立でき、子育てなどで会社から離れても復帰しやすい環境を積極的に作っていく必要があると思います。




○中小・零細企業の子育てに政策的支援を

全国商工会連合会 会長 清家 孝


少子化問題は、我が国の将来に関わる重要な問題であり、官民挙げて取り組んでいかなければなりません。

本会としても、会員企業等に子育て支援の推進について普及・啓発に努めてまいります。

しかしながら中小・零細企業では、自助努力でできる支援策にも限界があり、また、経営者自身が過酷な就労条件のため自らの子育てに手が回らないケースも多いのが実態ですので、中小・零細企業への支援について政策要望していきたいと考えております。




○中小企業における子育て支援への取組の促進について

全国中小企業団体中央会 会長 佐伯昭雄


少子化の流れを変えるため、我々中小企業にも相応の役割が求められています。

全国中小企業団体中央会では、中小企業向け行動計画策定マニュアルやハンドブックの作成・配布、全国各地での説明会の開催などの活動を通じて、広く中小企業の実情に即した子育て支援や行動計画の策定を呼びかけ、その普及・啓発に努めています。

また、都道府県中小企業団体中央会等が厚生労働大臣の指定を受けて設置している「次世代育成支援対策推進センター」と連携して、ノウハウのない企業への支援を行ってまいります。




○働いているから子ども を産み育てやすい日本へ

日本労働組合総連合会 会長 高木 剛


1990年代以降、職場では、「正社員」からパート・派遣・期間雇用者など「非典型労働者」への置き換えが急速に進んでいます。

不安定雇用の拡大は少子化の極めて重要な原因の一つです。

雇用の安定は将来の生活設計の大前提です。

連合は、雇用の安定と、仕事と家庭の両立、労働時間の短縮、次世代育成支援行動計画の策定と実行などを通じ、「働いているから子どもを産み育てやすい日本」を目指し、取り組んでいます。




○次世代育成支援にむけた労使の取り組みについて
 〜子育てにやさしく活力あふれる社会の実現をめざして

社会経済生産性本部 会長 牛尾治朗


少子高齢化と人口減少が進行するなか、子育てにやさしく活力ある社会を実現するためには、産業労使の一体となった取り組みが重要です。

その際、経営者と従業員の意識改革、多様な勤務形態によって女性が働き続けられる環境づくりが不可欠です。

このため、次世代育成支援を企業の社会的責任のみならず生産性向上の観点からも捉え、働き方・暮らし方の改革や女性をはじめとする人材活用戦略の再構築、子育て環境の整備などを実践的に推進することが求められます。

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子育て支援官民トップ懇談会

2005年4月から子ども子育て応援プランや、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画が実施されていることを踏まえ、企業における仕事と家庭の両立支援策や働き方の見直しなどの子育て支援策の一層の積極的な推進を図るとともに、政府の少子化社会対策について官民での意見交換を行うため、同年5月、官邸において、「子育て支援官民トップ懇談会」(以下「トップ懇」という。)が開催された。


トップ懇は、内閣官房長官の主宰によるもので、関係閣僚(内閣官房長官、少子化対策担当内閣府特命担当大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣)と経済・労働界の団体(日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、日本労働組合総連合会、社会経済生産性本部)のトップで構成されている。


トップ懇では、仕事家庭子育ての両立がしやすい社会をつくるため、国民的な運動を行っていくことが重要であるとの認識が示され、官民をあげて、トップがイニシアチブを発揮して取組を強化していくことになった。

さらに、同年10月、第2回のトップ懇が開催され、官民をあげた国民的運動へ向けての取組について意見交換をし、今後、具体的に国民的運動を実施する方向で合意が得られた。


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行動計画の策定・届出状況

実際の行動計画の策定状況はどうなっているだろうか。

2005(平成17)年9月末時点で、行動計画を策定した旨の届出が義務付けられている従業員数301人以上の企業のうち、各都道府県の労働局に対して届出を行ったのは84.4%である。

特に11の県において100%を、26の道県において90%以上を達成しており一定の評価ができる。

今後は100%に向けてさらに企業に働きかけるほか、努力義務にとどまる中小企業に対して重点的な働きかけが必要である。

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認定企業

行動計画に定めた目標を達成したことなど一定の要件を満たす場合には、申請により厚生労働大臣(実際は権限を委任された都道府県労働局長)の「認定」を受けることができる。

認定を受けた企業は、その旨を示す表示(次世代認定マーク)を広告、商品、求人広告などにつけることができる。

次世代認定マークによって、次世代育成支援対策に積極的に取り組んでいることが対外的に周知されることになり、企業イメージの向上、優秀な人材の確保や、それにともなう生産性の向上、従業員のモラールアップなどの効果が期待される。

 

<次世代認定マーク>


<認定の要件>


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次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定

次世代育成支援対策推進法に基づき、従業員数が301人以上の企業では、2005(平成17)年4月から、次世代育成支援のための行動計画を策定し、その旨を各都道府県労働局に届け出ることになった。

行動計画の策定についての指針として「行動計画策定指針」が定められており、同指針では、以下のような事項について、各企業の実情に応じて必要なものを計画に盛り込むことが望ましいとしている。

 

<認定を受けるために行動計画に盛り込む事項等>


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子育ての新たな支え合いと連帯

子育ては次代の担い手を育成する営みであるという観点から、子どもの価値を社会全体で共有し、子育て家庭が安心と喜びをもって子育てに当たれるよう社会全体で支援することが求められている。


近年、核家族化、地域社会の変化など、子育てをめぐる環境が大きく変化したため、家庭のみでは子育てを負い切れなくなってきており、さらには虐待などが深刻な問題となっている。

祖父母などの親族や、近隣など身近な地域社会での助け合いのネットワークが有効に機能することが望まれる。

また、社会経済の変化や少子化に伴い、妊娠出産から子どもの健全な育ちにかかわるニーズは大きく変化してきており、小児医療、母子保健などの多様なニーズに対し、適切な対応が求められている。


そこで、地域での子育て支援として、全国どこでも歩いていける場所で気兼ねなく親子で集まって相談や交流ができるよう、つどいの広場・地域子育て支援センターの実施箇所を拡大することとし、2004(平成16)年度に2,954か所である拠点の箇所数を5年後までに6,000か所にするという目標を掲げている。


また、全国どこでも保育サービスが利用でき、就業形態に対応した保育ニーズが満たされるよう、待機児童ゼロ作戦をさらに展開し、受入児童数を2009(平成21)年度までに、約12万人増やすとともに、多様な保育ニーズへの対応として、延長保育(2004年度12,783か所→2009年度16,200か所)、休日保育(同666か所→同2,200か所)、夜間保育(同66か所→同140か所)、病後児保育(同507か所→同1,500か所)等の実施箇所数を大きく増加させることとしている。


さらに、全国どこでも養育困難家庭育児への不安や負担感が軽減される支援を受けられるよう、児童虐待防止やその適切な対応として、虐待防止ネットワークを2009年度までに全市町村で整備するとし、障害児やひとり親家庭などの多様なニーズへの対応を図り、特に支援を必要とする子どもとその家庭に対する支援を推進するとしている。


周産期、乳幼児期の安全を確保し、子どもが病気の際には適切に対応できるよう、周産期医療ネットワークや小児医療体制の整備を推進するとともに、妊婦子ども及び子ども連れの人に対して配慮が行き届き安心して外出できるよう、子育てバリアフリーや安全・安心なまちづくりを推進することとしている。

 

<4つの重点課題〔4〕:子育ての新たな支え合いと連帯>


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生命の大切さ、家庭の役割等についての理解

家庭は、子ども家族との愛情によるきずなを形成し、人に対する基本的な信頼感や倫理観、自立心などを身に付けていく場である。

しかし、職場優先の風潮などから子どもに対し時間的・精神的に十分向き合うことができていない親、無関心や放任といった極端な養育態度の親などの問題が指摘されている。

家庭において夫婦子育ての喜びを共有することで、から子育ての喜びや楽しさが伝えられることにもつながる。


人々が自由や気楽さを望むあまり、家庭を築くことや生命を継承していくことの大切さへの意識が失われつつあるとの指摘もある。

学校教育や地域社会など様々な社会とのかかわりの中で子育ての楽しさを実感し、自らの生命を次代に伝えはぐくんでいくことや、家庭を築くことの大切さの理解を深めることが求められている。


このため、保育所児童館保健センターにおいて中・高校生が乳幼児とふれあう機会提供を拡大することや、生命の大切さや家庭の役割等に関する学校教育の充実、地域住民や関係者が参加して子育て支援についてともに考えるフォーラム等を全市町村で実施することとしている。

 

<4つの重点課題〔3〕:生命の大切さ、家庭の役割等についての理解>


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仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し

p>結婚出産 をためらわせる障壁を極力取り除き、子育て の不安や負担を軽減するため、結婚出産子育て をしやすい環境整備を進めることとあわせ、職場優先の風土を是正する働き方 の見直しを課題とし、家族 の時間や私的活動の時間を大切にできる職場風土をつくることが求められている。

 


そこで、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主の行動計画の策定及びその実施を支援するとともに、育児休業 制度を就業規則に規定している企業の割合を5年後に100%(2002年度時点では61.4%)にすることや、次世代育成支援対策推進法に基づく認定企業数の割合を計画策定企業の20%以上にすること、長時間にわたる時間外労働を行っている者を1割以上減少すること、年次有給休暇の取得率を55%以上にすること等の目標を設定している。

これらにより、希望する者のすべてが安心して育児休業 等を取得できる職場環境の整備や、男性も他の先進国並に家庭 でしっかりと子ども に向き合う時間を持ち、男性の子育て 参加の促進を図ることをねらいとしている。

また、育児 等のために退職し、将来就職 を希望する人に対しては、円滑な再就職 に向けた準備支援・職業訓練等を推進することとしている。

 

<4つの重点課題〔2〕:仕事家庭 の両立支援と働き方 の見直し>



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若者の自立とたくましい子どもの育ち

全年齢平均値よりも高い若者の失業率(2004(平成16)年では、15〜24歳9.5%、25〜34歳5.7%)や、フリーターの増大(2004年では推計213万人)、ニートの増大(2004年では推計64万人)といった若者の就労問題からくる経済的不安定が、「結婚 できない」という未婚化現象を通じて、出生率の低下につながっているおそれがある。


また、少子化問題とは別に、そもそも若者が、自己実現や社会への参画を目指して、就職 や、結婚出産子育て に積極的にかかわっていくことは、自立した社会人となる上で非常に大切である。


そのため、若者が意欲をもって就業し、経済的にも自立できるよう、「職業体験を通じた初等中等教育段階におけるキャリア教育の推進」、「若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)における支援の推進」等の施策を盛り込んでいる。

中でも、「若年者試行雇用の活用」については、常用雇用移行率を80%にするという目標(2006(平成18)年度までの目標)を掲げている。これらの施策を総合的に実施することで、フリーターや若年失業者、無業者それぞれについて、低下を示すような状況を目指すとしている。


また、教育を受ける意欲と能力のある学生が経済的理由で修学を断念することがないように、日本学生支援機構奨学金事業において、基準を満たす希望者全員に貸与できるよう努めることとしている。


さらに、子ども が自立した若者へと成長していくためには、自然や人と直接ふれあうことによって、心豊かにたくましく育ち、生活や社会、自然とのかかわりを学び生きる力を発揮できるようにすることが重要である。

そのため、各種体験活動の機会を充実させ多くの子どもが様々な体験を持つことができ、また、確かな学力や豊かな人間性などの生きる力をはぐくむことができる学校教育 を推進していくことを目指している。

 

<4つの重点課題〔1〕:若者の自立とたくましい子ども の育ち>


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幅広い総合的な計画

子ども子育て 応援プランは、少子化社会対策大綱の掲げる4つの重点課題に沿って、国が、地方公共団体や企業等とともに計画的に取り組む必要がある事項について、2005(平成17)年度から2009(平成21)年度までの5年間に講ずる具体的な施策内容と目標を掲げている。

これまでのプラン(エンゼルプラン及び新エンゼルプラン)では、保育 関係事業を中心に目標値が設定されていたが、子ども子育て 応援プランは、少子化社会対策大綱に基づき、若者の自立や働き方の見直し等も含めた幅広い分野で具体的な目標値を設定している。


また、子ども子育て 応援プランでは、サービスの受け手である国民の目線も取り入れることによって、国民の側からみて、「子ども が健康に育つ社会」、「子ども を生み育てることに喜びを感じることのできる社会」への転換がどのように進んでいるかわかるよう、概ね10年後を展望した「目指すべき社会」の姿を提示している。


子ども子育て 応援プランに盛り込まれた目標値については、策定当時、全国の市町村が策定作業中の次世代育成支援に関する行動計画における子育て 支援サービスの集計値を基礎において設定されている。

全国の市町村の行動計画とリンクしたものとすることにより、子ども子育て 応援プランの推進が全国の市町村行動計画の推進を支援することになる。


今後、夢と希望にあふれる若者がはぐくまれ、家庭 を築き、安心と喜びを持って子育て にあたっていくことを社会全体で応援する環境が整ってきたという実感のもてるよう、政府をあげて子ども子育て 応援プランの着実な実施に努めていくこととしている。

 

<「子ども子育て 応援プラン」の概要>


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子ども・子育て応援プランの策定

少子化社会対策大綱の具体的実施計画(子ども子育て 応援プラン)は、少子化社会対策基本法の趣旨や少子化社会対策大綱の内容に加えて、前述したようなこれまでの施策の課題も踏まえつつ、次世代育成支援対策推進法に基づき、市町村と都道府県、従業員301人以上の企業等に対して次世代育成支援に関する行動計画の策定等が義務付けられたことと関連づけて策定された。

 
<地方公共団体の行動計画の推進>


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少子化の進展に歯止めがかからない背景

2004(平成16)年度は、新エンゼルプランの最終年度であった。

1995(平成7)年度からのエンゼルプランの実施以来、10年間にわたって少子化対策が講じられてきた。

この間、保育サービスを中心に計画的な整備が進められてきたことに加え、2001(平成13)年度からは「待機児童ゼロ作戦」の推進も加わり、当初の計画目標は多くの事業でほぼ達成された。


しかしながら、少子化の進展には歯止めがかからなかった。

1994(平成6)年の合計特殊出生率1.50、出生数1,238千人に対して、途中、合計特殊出生率が若干反転したり、出生数が増加したことはあったが、2004(平成16)年には合計特殊出生率1.29、出生数1,111千人と、いずれも過去最低を記録した。


これは、エンゼルプランや新エンゼルプラン等によりこれまでとられた対策では、少子化の流れを変えるには不十分であったことを意味している。その背景には、次のような点があるものと考えられる。


〔1〕子育て期にある30歳代男性の4人に1人は週60時間以上就業しているなど、育児期に子どもに向き合う十分な時間を持つことができない働き方となっており、依然として子育ての負担が女性に集中する結果となっていること。

また、育児休業制度など子育てと就業の両立を目指した諸制度も十分な活用が進んでいないこと。


〔2〕地域によっては保育所待機児童がいまだ存在しており、また地域共同体の機能が薄れつつある中で、一時保育や地域子育て支援センターなど地域の子育てを支えるサービスが地域において十分に行き渡った状況にはなっておらず、孤立した状態で子育てをしている場合があること。


〔3〕無職や雇用の不安定な若者が増加するなど、若者が社会的に自立し、家庭を築き、子どもを生み育てることが難しい社会経済状況となっていること。

こうした状況のために、国民が子どもを生み育てやすい環境整備が進んだという実感を持つことができていないものと考えられる。

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少子化社会対策大綱

また、同法は、少子化に対処するための施策の指針として、総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の大綱の策定を政府に義務付けており、それを受けて、2004(平成16)年6月、「少子化社会対策大綱」が少子化社会対策会議を経て、閣議決定された。


この大綱のキーワードは、「少子化の流れを変える」である。

すなわち、少子化の急速な進行は、社会・経済の持続可能性を揺るがす危機的なものと真摯に受け止め、子ども が健康に育つ社会、子ども を生み、育てることに喜びを感じることのできる社会への転換を喫緊の課題とし、少子化の流れを変えるための施策に集中的に取り組むこととしている。


少子化の流れを変えるために、「3つの視点」と「4つの重点課題」、「28の具体的行動」を提示している。

3つの視点とは、若者の自立が難しくなっている状況を変えていくという「自立への希望と力」、子育て の不安や負担を軽減し、職場優先の風土を変えていくという「不安と障壁の除去」、生命を次代に伝えはぐくんでいくことや、家庭を築くことの大切さの理解を深めていくことと、子育て ・親育て支援社会をつくり、地域や社会全体で変えていくという「子育て の新たな支え合いと連帯―家族のきずなと地域のきずな―」である。


4つの重点課題とは、政府が特に集中的に取り組むべき課題で、「若者の自立とたくましい子ども の育ち」、「仕事と家庭の両立 支援と働き方の見直し」、「生命の大切さ、家庭の役割等についての理解」、「子育て の新たな支え合いと連帯」の4分野である。この重点課題を受けて、当面の具体的行動として、28の施策を掲げている。


さらに、本大綱に盛り込まれた施策について、その効果的な推進を図るため、2004年中に「施策の具体的実施計画(新新エンゼルプラン)」を策定するものとされ、その結果、策定されたものが「子ども子育て 応援プラン」である。

 

<少子化社会対策大綱の3つの視点と4つの重点課題>


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少子化社会対策基本法

2003(平成15)年7月、議員立法により、「少子化社会対策基本法」が制定され、同年9月から施行された。


この法律は、わが国における急速な少子化の進展が、21世紀の国民生活に深刻かつ多大な影響をもたらすものであり、少子化の進展に歯止めをかけることが求められているとの認識に立ち、少子化社会において講ぜられる施策の基本理念を明らかにするとともに、少子化に的確に対処するための施策を総合的に推進することを目的としたものである。


この法律に基づき、内閣府に、特別の機関として、内閣総理大臣を会長とし、全閣僚によって構成される少子化社会対策会議が設置された。

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次世代育成支援対策推進法

2003(平成15)年7月、「次世代育成支援対策推進法」が制定された。

これは、地方公共団体及び事業主が、次世代育成支援のための取組を促進するために、それぞれ行動計画を策定し、実施していくことをねらいとしたものであった。

法律の概要は次のとおりである。


〔1〕国は、地方公共団体及び事業主が行動計画を策定するに当たって拠るべき指針を策定すること。


〔2〕市町村及び都道府県は、国の行動計画策定指針に即して、地域における子育て 支援、親子 の健康の確保、教育環境の整備、子育て 家庭に適した居住環境の確保、仕事と家庭の両立 等について、目標及び目標達成のために講ずる措置の内容を記載した行動計画を策定すること。


〔3〕事業主は、国の行動計画策定指針に即して、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標及び目標達成のための対策等を定めた一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ること。

なお、国及び地方公共団体の機関も、行動計画策定指針に即して、目標、目標達成のために講じる措置の内容等を記載した行動計画を策定し、公表すること。


〔4〕事業主からの申請に基づき行動計画を定めた目標を達成したこと等の基準に適合する事業主を認定すること。


一般事業主の行動計画を策定した旨の届出については、301人以上の労働者を雇用する事業主は義務づけ、300人以下は努力義務とされた。

地方公共団体及び事業主の行動計画策定に関する規定は、2005(平成17)年4月から施行されている。

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少子化対策プラスワン

2002(平成14)年9月、厚生労働省において、「少子化対策プラスワン」がまとめられた。

これは、従来の取組が、仕事と子育ての両立 支援の観点から保育 に関する施策を中心としたものであったのに対し、「男性を含めた働き方の見直し」や「地域における子育て 支援」なども含めて、社会全体が一体となって総合的な取組を進めていこうと提言するものであった。


2003(平成15)年3月、少子化対策プラスワンを踏まえて、少子化対策推進関係閣僚会議において、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」が決定された。

この方針では、家庭や地域の子育て 力の低下に対応して、次世代を担う子ども を育成する家庭 を社会全体で支援(次世代育成支援)することにより、子ども が心身ともに健やかに育つための環境を整備することを掲げた。

また、地方公共団体及び企業における10年間の集中的・計画的な取組を促進するため、新法(次世代育成支援対策推進法)の制定や児童 福祉法の改正など一連の立法措置を講じることとした。

 

<少子化対策の経緯>


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エンゼルプランと新エンゼルプラン

最初の具体的な計画が、1994(平成6)年12月、文部、厚生、労働、建設の4大臣合意により策定された「今後の子育て 支援のための施策の基本的方向について」(エンゼルプラン)であった。エンゼルプランは、子育て夫婦家庭 だけの問題ととらえるのではなく、国や地方公共団体をはじめ、企業・職場や地域社会も含めた社会全体で子育て を支援していくことをねらいとし、政府部内において、今後10年間に取り組むべき基本的方向と重点施策を定めた計画であった。


エンゼルプランを実施するため、保育所 の量的拡大や低年齢児(0〜2歳児)保育延長保育 等の多様な保育サービス の充実、地域子育て 支援センターの整備等を図るための「緊急保育 対策等5か年事業」が策定され、1999(平成11)年度を目標年次として、整備が進められることとなった。


その後、1999年12月、少子化対策推進関係閣僚会議において、「少子化対策推進基本方針」が決定された。

この基本方針では、少子化の原因として、晩婚化の進行等による未婚率の上昇、その背景として、仕事と子育ての両立 の負担感の増大や子育て の負担感の増大等があると指摘した。

また、少子化対策の趣旨は、仕事と子育ての両立 の負担感や子育て の負担感を緩和・除去し、安心して子育て ができるような様々な環境整備を進め、家庭子育て に夢や希望を持つことができるような社会にしようとすることであるとした。


同年12月、基本方針に基づく重点施策の具体的実施計画として、「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(新エンゼルプラン。

大蔵、文部、厚生、労働、建設、自治の6大臣合意)が策定された。新エンゼルプランは、従来のエンゼルプランと緊急保育対策等5か年事業を見直したもので、2000(平成12)年度を初年度として2004(平成16)年度までの計画であった。

最終年度に達成すべき目標値の項目には、これまでの保育サービス 関係ばかりでなく、雇用、母子保健 ・相談、教育等の事業も加えた幅広い内容となった。

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1.57ショックと少子化対策

わが国において、政府が、出生率の低下と子ども の数が減少傾向にあることを「問題」として認識し、子育て 支援の対策に取り組み始めたのは、「1.57ショック」がそのきっかけとなった1990(平成2)年以降のことである。

1.57ショックとは、1990年になって、前年(1989(平成元)年)の合計特殊出生率が1.57と、「ひのえうま」という特殊要因により過去最低であった1966(昭和41)年の合計特殊出生率1.58を下回ったことが判明したときの衝撃を指している。

1.57ショックを契機に、厚生省(現、厚生労働省)が中心となって、仕事と子育ての両立 支援など子ども を生み育てやすい環境づくりにむけての対策の検討が行われ始めた。

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国別人口の順位の低下

わが国のこれまでの人口の動向や将来推計人口の動向をみると、1950(昭和25)年時点では、世界第5位の人口と、世界中の国の中で有数の人口が多い国であったが、2000(平成12)年時点では第9位(世界の人口の2.1%)となり、2050(平成62)年では第15位に後退することが予想されている。

 
<人口の多い国(1950、2000、2050年)>
(千人)
順位
1950年
2000年
2050年
国名
総人口
国名
総人口
国名
総人口
1
中国
554,760
中国
1,275,215
インド
1,531,438
2
インド
357,561
インド
1,016,938
中国
1,395,182
3
アメリカ合衆国
157,813
アメリカ合衆国
285,003
アメリカ合衆国
408,695
4
ロシア
102,702
インドネシア
211,559
パキスタン
348,700
5
日本
83,625
ブラジル
171,796
インドネシア
293,797
6
インドネシア
79,538
ロシア
145,612
ナイジェリア
258,478
7
ドイツ
68,376
パキスタン
142,654
バングラデシュ
254,599
8
ブラジル
53,975
バングラデシュ
137,952
ブラジル
233,140
9
イギリス
49,816
日本
127,034
エチオピア
170,987
10
イタリア
47,104
ナイジェリア
114,746
コンゴ民主共和国
151,644
11
フランス
41,829
メキシコ
98,933
メキシコ
140,228
12
バングラデシュ
41,783
ドイツ
82,282
エジプト
127,407
13
パキスタン
39,659
ベトナム
78,137
フィリピン
126,965
14
ウクライナ
37,298
フィリピン
75,711
ベトナム
117,693
15
ナイジェリア
29,790
トルコ
68,281
日本
109,722
資料:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」(2005年)

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昨年の合計特殊出生率による将来推計

実際の合計特殊出生率は、前述の中位推計の前提よりも低い数値で推移している。

仮に、2004(平成16)年の年齢別出生率が将来も一定であると仮定をして、人口を機械的に推計すると、総人口のピークは中位推計と同じ2006(平成18)年であるが、総人口が1億人を下回るのは2048(平成60)年で、中位推計よりも3年早まる。

高齢化率は2050(平成62)年で36.9%と、中位推計よりも1.2%高くなる。総人口は、中位推計よりも300万人少ない9,724万人となる。


さらに、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成14年1月推計)で公表された参考推計によると、2100年には、中位推計では約6,400万人となる。

低位推計では約4,650万人となり、現在の総人口の約3分の1という少なさになる。


これは、明治時代の人口規模とほぼ同様の水準である(ちなみに、1900(明治33)年の人口は、4,385万人)。


わが国は、このままの合計特殊出生率で推移をすると、2100年には、20世紀に増加した人口の全てが失われて、19世紀の人口に逆戻りすることになる。

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急激な人口減少と「人口半減社会」の到来

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成14年1月推計)の中位推計では、わが国の人口は、2006(平成18)年にピークを迎えた後、減少に転じ、2020(平成32)年には12,411万人、2050(平成62)年には10,059万人と、現在(2004(平成16)年)よりも約2,700万人減少する。


この将来人口推計によれば、出生数は2010年代前半に100万人を割り込み、2020年代には80万人台になる。

一方、死亡数は、今後とも増加し、2010年代には130万人台から140万人台へ、2020年代には150万人台から160万人台になる。

2006年から、死亡数が出生数を上回る自然減が始まり、2020年代には、年間の自然減が70万人台にもなる。

これは、毎年、現在の鳥取県または島根県1県分の人口が減少していくことを意味している。

少子化が進行する一方で、高齢化率が高まり、2050年には現在の2倍近い約36%にも達する。

生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)も減少し、2050年には現在(2004年)よりも約3千万人も減少する。

総人口に占める生産年齢人口の割合は、2000(平成12)年の68%から2050年には約54%に縮小する。


このように、2050年の総人口は、日本が初めて1億人を超えた1967(昭和42)年当時の水準に戻ることが予測されている。

1億人というと、2000年時点で世界10位前後の人口規模であり、決して少なくはないというイメージがあるが、同じ1億人でも、1967年当時は、日本人の中位数年齢(人口を年齢順に並べて数え、ちょうど真ん中に当たる年齢)は30歳、高齢化率は6%台と「若い国」であった。

それに対して、2050年には、中位数年齢は53歳、高齢化率は約36%と、世界的にみても大変「年老いた国」へと変貌してしまう。

2000年には高齢者1人あたり生産年齢人口が4であったのが、2050年には高齢者1人あたり生産年齢人口は1.5人となり、人口構成が大きく変わってしまうのである。


さらに、この人口推計における参考推計では、2100年には6,414万人(中位推計)と、現在の総人口から6,000万人もの人口が減少するという「人口半減社会」を迎えることが予想されている。

<わが国の人口構造の推移>


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23区の中で最も出生率の高い江戸川区の地域力

江戸川区(2005(平成17)年4月1日現在の人口、約66万人)は、2003(平成15)年の合計特殊出生率が1.30と、東京都23区内で最も高い。

東京都平均の1.00、23区平均の0.96を大きく上回っている。


従来から、若い子育て 世帯にとって、子育て しやすいまちとして(江戸川区に住む就学前の子ども を持つ保護者3千人に行った調査では、94.9%の人が子育て しやすいまちだと答えている)人口流入も多いが、何が子育て 世代を引きつけているのだろうか。


まず、江戸川区の施策についてみると、江戸川区独自の制度として「保育ママ 制度」がある。保育ママ 制度によって0歳児保育 を行う一方で、公立保育所 における0歳児保育 は行われていない。

これは、低年齢時には、できるだけ家庭で子育て することが、親子 にとって良いことであるという江戸川区の方針を反映したものである。

保護者が負担する費用としては、基本保育料 が月額1万4千円と、保育所保育料 に比べ安くなっている。


また、江戸川区の行政方針として、歴史的に「民間でできることは民間に」という姿勢で、私立幼稚園 が圧倒的に多い(私立39、公立6)が、私立幼稚園 の授業料等については、公立との差額月2万6千円を補助し、経済的負担の軽減に取り組んでいる。


江戸川区独自の手当として、満1歳未満の乳児を養育している保護者で、特別区民税の所得割相当額が6万円未満の者については、月額1万円(所得割相当額が1万6千円未満は、1万3千円)を支給している。


さらに、「すくすくスクール」という放課後児童クラブ を発展させた活動を行っており、昼間保護者のいない子ども だけではなく、かつ、小学校 3年生までに限らず、小学生 であれば誰でも参加できるとともに、幅広い世代の地域住民との交流を通じて多くの人とかかわりながら、社会性やコミュニケーション力を発達させることに貢献している。

今までは、参加する子ども は、共働き子ども に限られており、遊ぶ範囲も一定の範囲で、関わる大人も主に数人の指導員という閉鎖的な状況であったが、2005年度から区内の全小学校73校で、地域の人材を活用して、子ども にとって本当に意味のある活動を提供することができるようになっている。


次に言えることは、立地に恵まれていることである。

5本の鉄道、地下鉄が発達しており、都心へのアクセス、交通の便が良い割に、地価が安く、若い世代にとって住宅を賃貸でも購入でも入手しやすい。

また、海に臨み、荒川、江戸川と二つの大きな川が流れ、水辺の自然環境にも恵まれ、遊び場や憩いの場が提供されている。


以上、江戸川区の特徴を述べたが、江戸川区の担当責任者は、立地条件や行政が行う子育て 関連の施策だけで、子育て しやすいまちになれるという簡単なことではないという。

区と区民が一体となって魅力的なまちをつくろうという昔からの考え方や、何かあったらみんなで支え合ってやろうとする区民の住民性が土台にあるからこそ、「保育ママ 」も「すくすくスクール」も機能しているのであるという。

言い換えれば、子育て の地域力の基盤があり、地域の人材の活用がうまくできているからである。

江戸川区では、2000(平成12)年度に策定した長期計画で、新たに「共育・協働」という理念を打ち出し、次世代育成支援の行動計画にも「共育・協働 未来への人づくり」として理念を反映させ、これまで培ってきた地域力を土台としながら、今後もまちづくりに取り組んでいくとしている。

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離島で合計特殊出生率が高い理由

なぜ、鹿児島県の離島では出生率が高いのであろうか。

鹿児島県の沖永良部島(和泊町、知名町)での事例研究「少子化要因とその社会学的意味―鹿児島県離島、沖永良部島の事例研究―」(鹿児島大学 片桐資津子助教授)を参考にすると、次のような点が指摘できる。


沖永良部島にある和泊町、知名町は、前述の合計特殊出生率上位20団体の表にあるように、それぞれ、人口7,736人、7,435人で、出生率は2.42、2.30となっている。

地域特性としては、気候は温暖で快適、主要産業は農業で、特に花卉類とサトウキビの収穫量が多いが、教育熱心な土地柄で、地元高校卒業後は90%以上が島の外で進学するという現状である。


片桐助教授の事例研究における地元住民のヒアリングから鍵となるポイントを整理すると以下のような点が挙げられる。


〔1〕 地元の高校を卒業するとほとんどの若者は島を出て行くにもかかわらず、島外での進学や就職の後に何年か経つと島に戻ってくる。


〔2〕 必ずしも親の家業を引き継がなくても、農業の専門家育成機関があり農業経営や技術を学び、農業をして働くという環境が整っている。


〔3〕 子育て に関しては、親もとに住んでいることが多く、親からのサポートをはじめ、働きながらでも子ども を見てもらえる安心感がある。


〔4〕 島には、独特のリズムがあり、食料も自給的で、経済的な負担も少なく、穏やかで本当に暮らしやすい。


以上から、生まれ育った場所への定着率の高さ、就労のしやすさ、仕事子育て の両立のしやすさ(親元での出産子育て )、経済的負担の軽さといったことが、出生率の高さにつながっていると考えられる。

現在の複雑な社会経済状況によって「子ども を生み、育てにくい社会」となっているわが国を、「子ども を生み、育てやすい社会」へと転換する上で、大切な何かを教えてくれているとは言えないだろうか。

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東京都における地域差

東京都における合計特殊出生率の地域差について言及してみよう。

東京都では、大都市部から島嶼部まで大きな地域差を持っており、地区別にその推移をみると大きな違いがみられる。


特別区は、1995(平成7)年から1.0前後で推移し、若干変動しながら低下傾向にある。

一方、人口の少ない島嶼部は、2001(平成13)年を除いて1.7前後で安定している。

東京都全体でみれば、特別区及び市部の低い出生率の動きに影響を受けて、2003(平成15)年までおおむね一貫して低下傾向にあり、2003年には約1.0となっている。

しかし、同じ特別区でも、江戸川区のように1.3を超えるような区もあれば、渋谷区のように0.7台とわが国で最低の区もある。

また、市部を見ても、福生市のように1.4前後の市と武蔵野市のように0.8台の市と大きな開きが見られる。


このような違いは、若い子育て 世代が集まる地域であるかどうか、子ども を生み育てやすい地域であるかどうかなどの特性も反映