2008-10

アジアの主な国・地域の合計特殊出生率の動向

出生率の低下は、わが国や欧米諸国だけの現象ではなく、アジアでも起きている現象である。

そこで、東アジア及び東南アジアにおいて経済成長が著しく、時系列データの利用が可能な韓国、台湾、香港、シンガポールおよびタイの合計特殊出生率の動向を見てみよう。


1970年の合計特殊出生率の水準を見ると、わが国が2.13であったのに対して、タイが5.02、韓国が4.50、台湾が4.00であり、当時の全世界平均(1970〜75年平均:4.48)に近い水準にあった。

また、香港、シンガポールでもそれぞれ3.29、3.10とわが国を大きく上回っていた。

その後、これらの国々でも合計特殊出生率は低下していった。

その結果、2004年の合計特殊出生率を見ると、タイが1.90、韓国が1.16、台湾が1.18、シンガポールが1.24、香港が0.93となっている。

タイを除けば、わが国(2004年の1.29)の水準を下回っており、特に香港は同じ年の東京都(1.01)の水準をも下回っている。


なお、その他の国の状況を見ると、中国は2000〜2005年の平均で1.8(国連推計)、ベトナムは2.3、インドネシアは2.4、マレーシアは2.9、フィリピンは3.2、ラオスは4.8となっている(2004年、WHO(世界保健機構)資料)。

合計特殊出生率が人口置き換え水準である約2.1を超える国がある一方、東アジアの主要な国や地域では、合計特殊出生率が1.3以下の「超少子化国」ともいえる状況となっている。

 

<アジアの主な国・地域における合計特殊出生率の動き>


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イタリアの取組とオーストラリアの「ベビーボーナス」

(1)出生率が上向いたイタリアの取組
本文で述べたように、イタリアの合計特殊出生率は、1980年代以降わが国を下回る水準にあったが、近年、わが国と同程度の水準にまで緩やかに回復してきた。

2004年の合計特殊出生率は1.33と、過去15年間で最高水準となり、総人口も12年ぶりに増加に転じた。


イタリアでは、ファシズム期(1922〜1943年)に国家政策として多産を奨励した反動から、出産については個人の自己決定を尊重する立場から、国として特別な対策はとってこなかった。

しかしながら、出生率の低下に対して、「(人口変動の)原因よりも(社会経済的な背景がもたらした)結果である」(2003年版イタリア福祉白書)との認識の下、イタリア政府は、家族政策の重要性を認識し、近年、様々な政策を実施している。


たとえば、2001年に、出産休暇(産前1か月または2か月と産後3か月または4か月の合計5か月)の他に、父親休暇及び両親休暇が導入された。

前者は、出産休暇の全部または一部を、父親でも取得できる。

後者は、子どもが8歳になるまで10か月間取得できる。これらの休暇を取得している間も一定の所得が保障されており、他のEU加盟国と比べて遜色がない。

保育サービスは、大幅に不足しているといわれていた。

そこで、新設される保育所に対する財政措置や職場内に保育所等を設置する事業者への助成制度(2003年)を実施している。


さらに、経済的支援として多くの手当があるが、第2子以降の出生が減少していることに対応するため、2003年から、第2子以降の子を出産した女性に対して、1,000ユーロ(約13.4万円)の一時金支給制度を時限措置として実施している。

(2)オーストラリアの新しい「ベビーボーナス」
オーストラリアでは、これまでも、メディケアによる公立病院における医療給付とは別に、出産手当(Maternity Allowance)やベビーボーナス(Baby Bonus)を支給してきた。

2004年7月から、出産に伴う経済的負担を支援するために、これらを統合した「新しいベビーボーナス」ともいえる出産給付(Maternity Payment)を支給しはじめた。


これは所得水準に関係なく、出産があったすべての家族が対象となっており、給付額は2004年の支給開始当時は3,000オーストラリアドル(約25.3万円)であったが、現在は、3,079オーストラリアドル(約26.0万円)となっている。

今後は、2006年に4,000オーストラリアドル(約33.7万円)、2008年には5,000オーストラリアドル(約42.2万円)に引き上げる予定とされている。

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主要国の政策―特徴のまとめ

このように、欧米の主要国で実施されている家族政策は多様である。とりわけ、ヨーロッパ諸国の家族政策の内容をみると、給付水準や給付範囲など充実しているものが多い。


ヨーロッパ諸国の家族政策は、出生率の回復を目指した少子化対策として講じられているものではなく、家族や子どもの成育に対して社会的に支援する政策として、長い間にわたって行われてきたものである。

その結果、GDP(国内総生産)比でみた家族政策費の水準は日本と比較をして高い。

こうした家族政策の背景には、子どもに対する投資は、家族ばかりでなく、社会にとっても利益になるという考え方がある。

たとえば、児童手当は次代への投資であって、次代の担い手としての子どもの育成を社会的に分担するという共通の認識が背景にあると指摘されている。そのため企業負担を含めた高い国民負担が容認されている。


スウェーデンは、育児休業制度の普及と、保育サービスや児童手当の充実が特徴的である。

出産後1年半程度は女性も男性も育児休業を取得し、その後は保育サービスを活用して、仕事と子育てを両立させる。「よく産んで、よく休んでいる」状況にある。

育児休業取得にあたっては代替職員の確保など、企業や同僚の負担とならないような仕組みが定着している。


フランスは、極めて手厚い家族給付と認定保育ママという独自制度も活用した保育サービスの充実が顕著である。

子ども数が増えるほど増額となる家族給付とともに、税制のN分N乗方式の採用に見られるように、多子世帯が有利となるような政策がとられている。

一方、ドイツでは、児童手当等の家族給付は手厚いが、保育サービスの面で不十分な点がある。


イギリスでは、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)運動により政府と企業が連携した施策の推進とあわせて、子育て支援策の充実を図っている。

アメリカでは、保育サービスは民間サービス中心であり、経済的支援策は税制のみとなっている。

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他の国々の状況

スウェーデンでも経済的支援は充実しているが、税制による支援はなく、児童手当に一本化されている。

原則として16歳未満の第1子から手当が支給されている。

手当は所得制限無しで支給されるが、1か月当たりの支給額は第1子、第2子では950クローネ(約1.4万円)、第3子では1,204クローネ(約1.8万円)となっており、子どもが多いほど支給額が多くなる仕組みとなっている。


イギリスでは、児童税額控除とともに、児童手当の制度が実施されている。

原則として16歳未満の第1子からの支給で、1週間当たり支給額は第1子で17.00ポンド(約3,300円)、第2子以降で11.40ポンド(約2,200円)となっている(2005年度)。

また、2005年4月からは、貯蓄及び投資の奨励を目的とした政策として「チャイルド・トラスト・ファンド(CTF)」が導入されている。

これは、2002年9月以降に生まれた子どもを持つ家庭に政府から子ども1人あたり額面250ポンド(約5万円)の証書を送るもので、家族は子ども名義の口座を開設して運用する。

CTF口座で発生する利子や配当は非課税となる。

政府は、子どもが7歳の誕生日にも2回目の補助金を支給する予定で、子どもは18歳になればCTF口座の資金を引き出すことができる。


ドイツでは国の財産としての子どもを国が援助するという理念の下、児童手当が実施されており、児童手当は原則として18未満の者を対象に、第1子から所得制限なしで支給されている。

また、第4子以降への加算もある。

1か月当たり支給額は第1子から第3子で154ユーロ(約2.1万円)、第4子以降では179ユーロ(約2.4万円)となっており、支給額は他の国に比べ大きなものになっている。

なお、児童扶養控除制度も存在し、いずれか有利な方が適用される仕組みとなっている。


アメリカでは、児童手当はなく、所得税制で子育て支援が行われている。

まず、人的控除で子どもを含む扶養家族一人あたり3,200ドル(約35.8万円)が所得から控除される。

税額控除として、保育費用控除があり、13歳未満の子どもの保育に係る費用の最大35%までを税額控除することができる。

そして、児童税額控除として、子ども一人あたり1,000ドル(約11.2万円)が税額控除される。

なお、児童税額控除については、税額控除後の税額が負となる場合には、還付される場合がある(勤労所得額が一定額以上であることが必要)。

 

<アメリカの子ども関係の控除制度(所得税)>
 
内容
人的控除
(所得控除)
・扶養家族一人あたり3,200ドル(約35.8万円)を所得控除
・所得に応じた減額措置あり(以下は減額が始まる基準)
 〔1〕夫婦世帯(夫妻で合わせて申告)  218,950ドル(約2,452万円)
      (夫妻が個別に申告)   109,475ドル(約1,226万円)
 〔2〕ひとり親世帯           182,450ドル(約2,043万円)
 〔3〕独身者              145,950ドル(約1,635万円)
児童税額控除
(税額控除)
・17歳未満の子ども一人あたり1,000ドル(約11.2万円)を税額控除
・所得に応じた減額措置あり(以下は減額が始まる基準)
 〔1〕夫婦世帯(夫妻で合わせて申告)  11万ドル(約1,232万円)
      (夫妻が個別に申告)    5万5千ドル(約616万円)
 〔2〕ひとり親世帯            7万5千ドル(約840万円)
・税額控除後の税額が負となる場合には、還付される場合あり
保育費用控除
(税額控除)
・13歳未満の子どもの保育費用等の最大35%を税額控除
・原則として、夫婦の場合には共働きであることが必要
・所得により、税額控除額の制限あり
資料:アメリカ内国歳入庁資料より内閣府少子化対策推進室において作成。

<児童手当等の各国比較>
事項
日本
フランス
スウェーデン
ドイツ
イギリス
アメリカ
児童手当の概要
(名称、対象、期間、給付額、財源、その他の制度の有無等)
○「児童手当」
小学3年生修了時まで
 所得制限あり

・第1子、第2子
 月5千円
・第3子以降1人につき
 月1万円

○財源
(0〜3歳未満)
 被用者
  事業主7/10、国2/10、地方1/10
非被用者 国2/3、地方1/3
特例給付
 事業主10/10
(3歳〜小学校3学年修了前まで)
 被用者・非被用者
 国 2/3、地方1/3
○「家族手当」
20歳未満。所得制限なし
・第1子
 なし
・第2子
 月115.07ユーロ(約1万5千円)
・第3子以降1人につき
 月147.42ユーロ(約2万円)

※年齢加算あり
 ・11〜16歳
 月32.36ユーロ(約4,300円)
 ・16〜19歳
 月57.54ユーロ(約7,700円)
 (2005年1月現在)

○3歳未満の乳幼児には、第1子から、月165.22ユーロ(約2万2千円)給付する「乳幼児迎入れ手当」ほか、多数の家族手当がある。

○財源
 家族給付全国基金、事業主拠出金と税(一般社会税等)
○「児童手当」
 16歳未満まで
 所得制限なし

・第1子、第2子
 月950クローナ(約1万4千円)
・第3子 1,204クローナ
 (約1万7千円)
・第4子 1,710クローナ
 (約2万4千円)
・第5子以降 1,900クローナ
 (約2万7千円)
・延長児童手当
 児童が17歳以上でも学生の場合児童手当と同額を支給

○財源
 全額国庫負担
○「児童手当」
 18歳未満まで(失業者は21歳未満、学生は27歳未満)。
 所得制限は18歳未満なし。18歳以上は、児童の年収による所得制限あり。

・第1子から第3子
 154ユーロ(約2万1千円)
・第4子以降
 179ユーロ(約2万4千円)

※1996年から、児童手当か児童扶養控除制度のどちらか有利な方が適用される制度になっている。

○財源
 連邦及び州、市町村の一般財源(連邦74%、州・市町村26%負担)
○「児童手当」
 16歳未満(学生は19歳未満)まで。
 所得制限なし。
・第1子
 週17.00ポンド(約3,300円)
・第2子以降
 週11.40ポンド(約2,200円)を支給
 (2005年度現在)

○財源
 全額国庫負担
○制度なし
 児童手当に相当するものとして、税制上の児童税額控除制度がある。
税制上の措置○扶養控除(38万円)、特定扶養控除(16歳以上23歳未満、63万円)あり○なし(N分N乗課税方式)○なし○児童扶養控除
(児童手当との選択制、所得が高い人ほど、控除制度を利用する)
 子ども1人につき、年額5,808ユーロ(約78万1千円)を控除。
○児童税額控除
 16歳未満(学生は19歳未満)の児童のいる世帯に対し、児童数及び世帯の所得に応じて、税額控除または給付。
○扶養控除あり
 被扶養者1人につき3,200ドル(約35万8千円)の所得控除。

○児童税額控除
 17歳未満の扶養児童1人につき、1,000ドル(約11万2千円)の税額控除(税額控除後の税額が負となる場合には、還付される場合あり)。
資料:「海外情勢白書 世界の厚生労働2004」(厚生労働省編)、フランス家族手当金庫ホームページ等を基に内閣府少子化対策推進室において作成。
 注:各国の為替レートについては、日銀報告省令レート(2005年9月分)により換算。

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フランスのN分N乗方式

フランスでは、税制においても独特の制度があり、所得税の課税にN分N乗方式が用いられている。

これは、家族を課税の単位と見なし、家族の所得をすべて合計した額を家族係数(大人は1、子どもは2人目までは0.5、3人目以降は1とみなして世帯全員で合計した数値)で割って、係数1当たりの課税額を求め、この課税額に再び家族係数をかけて家族全体の税額を計算する方法である。

累進税率が高い場合、こうしたN分N乗方式を用いると、同じ所得の場合であれば、子どもをはじめ家族の数が多くなるほど、所得税負担が緩和されることとなる。


このほかに、保育費用に関連する控除がある。

まず、認定保育ママを雇用した場合に、年間6,000ユーロ(約80.6万円)を限度(扶養する子どもの数に応じて増額あり)として、支払った賃金の50%を控除できる。

また、フルタイムの労働者が6歳未満の子どもを自宅外に預けた場合に、預けるために要した費用の25%(子ども一人当たり575ユーロ(約7.7万円)を上限)を控除できる。


さらに、フランスの年金制度では保険料納付期間、年金支給額の計算に当たって、子どもがいる者を優遇する仕組みも存在している。


前述した手厚い家族給付とあいまって、こうした税制等での施策が、若い夫婦や子どもがいる家庭に対して、子育てに係る経済的負担を軽減させている。

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最も手厚いフランスの経済的支援

欧米の主要国の中で、経済的支援が最も手厚いと言われているのがフランスである。

フランスの家族給付は、いわゆる児童手当も含めて30種類もの手当があり、また、生活困窮者や低所得者を対象としたものではなく、一般世帯全体を対象としている。

家族給付の管理運営主体は、家族給付全国公庫が担っており、その財源は、企業からの拠出金が最も多く全体の約6割を占め、一般社会税(家族関連給付の財源として1991年に導入されたもので、課税対象は給与、資本収入等で、税率は給与収入等について7.5%)が約2割、国庫からの拠出金が約1割という状況にある。


こうした幅広い負担により、児童関係手当の制度は非常に充実している。

まず、「家族手当」(日本の児童手当に相当するもの)は、第2子以降の20歳未満の子どもに対して支給される。

1ヶ月当たりの支給額は、第2子で115.07ユーロ(約1万5千円)、第3子以降は147.42ユーロ(約2万円)となっている(2005年1月時点)。

11歳以上になると、年齢加算があり、11歳から16歳までは月32.36ユーロ(約4千円)、16歳以上19歳以下では月57.54ユーロ(約8千円)加算される。


2004年から従来の乳幼児手当等を再編成したものとして、「乳幼児迎入れ手当」が導入されている。

これは、児童手当とは異なり、第1子から手当が支給されるほか、出産先行手当として出産時の給付や、認定保育ママを雇う場合の補助もある。

また、「新学期手当」という新学期ごとに給付される手当もある。


フランスの制度を前提に、日本とフランスにおける家族給付の規模(年額ベース)を比較すると、図のとおりとなる。

第1子誕生を0年として、2年後に第2子が誕生するケースで考えると、第2子が誕生する2年後には、フランスでは約71万円、日本では12万円と、約59万円の差が生じる。

 
<日本・フランスにみる家族給付(年額)の比較(第1子誕生、2年後第2子誕生のケース)>


この違いは、フランスでは、3歳未満に給付される乳幼児迎入れ手当(月約2.3万円)と第2子への家族手当(月約1.6万円)という給付があるが、わが国では、第1子、第2子へそれぞれ年額6万円の児童手当の給付となっていることによる。
また、12年後以降をみると、日本では、児童手当の給付が小学校第3学年修了時までとなっているので、第2子への手当給付が終了した時点で、給付がなくなってしまう。
それに対し、フランスでは、第2子以降の家族手当が満20歳未満であるため、20年後まで給付が行われ、さらに11歳以上では、年齢によって加算もされる。
その上、6歳以上18歳未満の児童に対しては、新学期ごとに約3.5万円もの新学期手当という給付も行われる。

これら各種手当を合計することで、フランスでは経済的支援の水準が極めて高いことが分かる。

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経済的支援(児童手当・税制)

子どものいる世帯に対する経済的支援として、現金給付と税制(各種控除制度)を挙げることができる。

わが国では、児童手当等の支給の他、所得税制における扶養控除が実施されている。

欧州の主要国では、わが国と比較をして、給付水準が高い児童手当制度等の経済的支援策が行われている。

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民間サービスが中心のアメリカ

アメリカでは、保育サービスは民間企業等により、比較的安価で供給されていることや、一定の収入があればそうした民間の保育サービスを購入できるため、公的保育サービスの供給は限定的である。そのため、全国共通の保育サービスの制度は存在せず、州によって制度が定められており、保育士の配置基準等の具体的な規制は州により異なっている。


その一方で、保育現場における保育担当者の労働条件・給与・福利厚生の水準が低く、定着しない等の問題点も指摘されている。

なお、2002年現在で、全国の保育所(Day Care Center)に234万人、保育学校(Nursery, Preschool)に114万人が入所している。

両者が学齢前の子どもをそれぞれ12.7%、6.2%カバーしていることになる。

また、家庭保育者(ベビーシッター等)による保育サービスを受けている子どもは255万人(13.8%)となっている。

 

<アメリカにおける保育基準の例(2004年)>
(1)保育所
規制の内容
子どもの年齢(一部)
1歳6ヶ月
3歳
4歳
5歳
カリフォルニア保育士1人
当たり児童数
6人
12人
12人
14人
1クラスの定員
12人
基準なし
基準なし
基準なし
ニューヨーク保育士1人
当たり児童数
5人
7人
8人
9人
1クラスの定員
12人
18人
21人
24人
(2)家庭型保育
施設当たり児童数の上限
小規模型
大規模型
ニューヨーク
原則として5人
7〜12人
オハイオ
基準なし
4〜12人
ルイジアナ
基準なし
基準なし
資料:米国厚生省資料より内閣府少子化対策推進室で作成

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保育サービスの整備が遅れているドイツ、イギリス

保育サービスの整備が低い水準にとどまっているのがドイツである。

保育所(Krippe、3歳未満の者を対象)の定員は2002年で約19.0万人であり、3歳未満児(約223.3万人)の8.5%にとどまる。

地域的には、旧西ドイツ地域を中心に遅れており、ノルトライン・ヴェストファーレン州やバイエルン州等で保育所の利用者の割合は全国平均を大幅に下回っており、この2州では2.1%にとどまっている(2002年)。

その一方で旧東ドイツ地域では、保育所の利用率は全国平均を大幅に上回っている(2002年で37%)。


その背景として、3歳までは育児休業があり、これを利用すれば十分であるという考えがある。

また、子ども保育家庭母親が行うという考えが旧西ドイツ地域を中心に依然として強く(一方で旧東ドイツ地域では男女の平等な社会参加を実現)、保育料も高いため(保育料補助は一部の州のみ)に、利用者が限られること等が挙げられる。

また、在宅保育サービスとしての保育ママ(ベビーシッターなど)については、全国的な制度として認められたものはなく、認可も資格も不要であるため、実態を把握するのが困難であるが、料金が高いため利用できる親は限られていると言われている。

さらに、幼稚園の制度もあるが、保育は半日制で、給食サービスもない場合がほとんどであり、これが母親のフルタイム就業を困難にさせている現状もある。


イギリスでも、ドイツと同様に保育サービスの整備が遅れていたところであるが、近年「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」政策の一環で保育サービスの充実が図られつつある。

ただし、まだ供給が少ない状態にある。

保育所の定員は28.5万人、教育基準事務所(OFSTED)への登録を行った個別保育者(チャイルドマインダー)による保育の定員も30.5万人となっている(2001年、イギリス教育省資料による)。

これらは5歳未満の子ども(約348.6万人)の約17%に相当する水準にしかすぎない。

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フランスの保育サービス

フランスでもフルタイムで働く女性が多く、こうした人々のニーズにこたえるために保育サービスが提供、利用されている。

まず、Crecheと呼ばれる保育所(3歳未満が対象、施設型、親管理型、家庭型等がある)があり、約18.2万人が入所している。

3歳未満の人口(約227万人)に対する割合は8.0%にとどまっており(2002年、EU統計局資料による)、この保育所によるサービス提供体制は十分ではないといえる。

この他に、一時託児所(Les Halte-Garderie)や2歳から入所できる保育学校(Ecole maternelle)がある。


その一方で、フランスでは在宅での保育サービスが発達している。

その代表が、認定保育ママ(Assistantes maternelle)である。

これは、在宅での保育サービスを提供する者のうち、一定の要件を備えた者を登録する制度で、県政府への登録者数は34.2万人、このうち就業している者は25.8万人である(2001年、EU統計局資料による)。

この認定保育ママが現在の保育需要の約7割を担っているとされている。

認定保育ママは、その利用者が雇用し、賃金や社会保険料を負担する。

この費用については、「乳幼児迎入れ手当」から、6歳未満の子ども保育費用(認定保育ママの雇用の賃金の一部と社会保険の使用者負担等)が補助されている。

また、後述のように税制を通じた支援も行われている。

このように、スウェーデンと異なり、フランスでは家庭的な保育サービスが中心となっている。

 

<フランスの主な保育サービス体系(年齢別)>
 

<保育サービスの各国比較>
事項
日本
フランス
スウェーデン
ドイツ
イギリス
アメリカ
保育所の概要
(設置主体、財源等)
・設置運営主体
市町村、民間
・財源
 国から、市町村へ保育所運営費として2分の1、都道府県から4分の1の補助金を給付。
・料金
 所得階層により0円〜8万円の基準額が定められており、市町村により基準額を元に軽減措置等が行われている。
・利用者
 0〜6歳児
・利用状況
 3歳未満 15.2%
 3歳〜6歳未満 36.7%
(2003年10月1日現在、厚生労働省保育課調べ、総務省人口統計より内閣府にて計算)
・設置数
 22,272(2003年)
・設置運営主体
市町村、民間、非営利団体
・財源
  家族給付全国基金から市町村に補助金、市町村から非営利団体に補助金を給付。
・料金
 パリ市運営の場合=1人、月30ユーロ(約4千円)〜570ユーロ(約7万7千円)(応能負担)
 パリ市民間保育所=1人、月1,500ユーロ(約20万2千円)程度
・利用者
 0〜3歳児
・設置数
 4,300(1999年)
・利用状況
 3歳未満の児童(約230万人)のうち、集団託児所は約13万人、ファミリー保育所は約7万人となっている。
・設置運営主体
保育所の大半は、コミューン(市町村)により設置、経営されている(一部、親たちにより組織運営される両親協同保育所等が存在)。
 保育サービスは、幼児教育の一環として位置づけられており、保育所に通っていない子どもと親が参加するオープン型保育所も設けられている。
・利用者
 1〜6歳対象。教育的活動を中心とした託児施設。親の就労支援のため1日10時間〜12時間開設
(パートタイムグループ
 4〜6歳対象。1日3時間。他の施設と併用されることが多い。)

・利用状況
 1〜5歳児の82%が保育所を利用している(2003年)。逆に、両親休暇制度があるため、0歳児の保育所利用は、基本的になし。

・オープンプレスクール
 他のサービスを利用していない未就学児が利用可能。両親の付き添いが必須。
・設置運営主体
地方自治体、協会、福祉団体等
・保育所については、旧西ドイツ地域では、3歳未満児の育児は、家族の役割に属するものとの考えが根強く、保育サービスの整備が低い水準にある(ある州では、対象年齢に占める利用者の割合は、保育所2.3%、幼稚園97%となっている)。一方、旧東ドイツ地域では、社会主義時代の名残で保育施設は充実している。
 また、3歳以上6歳未満の幼児全てに幼稚園入園の権利が保障されている。
・利用者
 0〜3歳児
・利用料
 州ごとに決められている。
・設置運営主体
自治体、民間
 公立の施設は数が少なく、一人親家庭など特別なニーズを持つ児童が優先利用しており、施設の多くは、企業内託児施設や民間企業が設立した施設となっている。利用料は、原則、親の負担。伝統的に、保護を必要とする子どもへのサービスが中心に構築され、一般家庭向けサービスの整備は低い水準にとどまっている。
 集団的な施設保育を行う保育形態は、デイナースリーと呼ばれる。

・利用者
 5歳未満児

・利用状況
 施設保育に家庭的保育を合わせても、5歳未満児の10数%をカバーする程度。
・設置運営主体
教会、非営利団体、企業
 いずれも、親が私的に契約して利用。
・利用料
 低所得の援助を受ける家庭を除いて、親が利用料を負担する。

・国全体を通じた制度はなく、保育所の設置基準等も州が定める。また、連邦政府は州に対して、低所得家庭が良質な保育を受けることができるプログラムに対する助成を行っている。
・施設型の保育所は、デイケアセンターという。
保育ママ、ベビーシッター等・家庭的保育事業
 保護者の就労等により、保育に欠ける3歳未満児に対し、保育所との連携により保育者の居宅において保育を行うもの。保育需要の増に対する応急措置的なもの。家庭的保育事業を行う市町村へ国、都道府県が助成をしているが、利用者の負担月額は約5万円〜7万円となっている。
・地方自治体が単独事業で行うものあり

・ベビーシッター協会に登録する事業者数は、115(2003年)。基本利用料、1時間あたり1,000円〜2,400円程度
・認定保育ママ
 3歳未満児の児童(約230万人)のうち、認定保育ママを利用する児童は、約50万人と集団託児所(約13万人)に比べ、圧倒的に多い。
・認定保育ママを利用している親に給付(児童の数と所得により支給額決定(所得制限なし))
<3歳未満>
  151.78ユーロ(約2万円)〜354.19ユーロ(約4万8千円)(月額)
<3〜6歳>
  75.89ユーロ(約1万円)〜177.11ユーロ(約2万4千円)(月額)
・保育ママは、保育所として行政に雇用されるパターンと家族と直接契約するという二通りのパターンあり
・在宅保育手当
 6歳以上の児童のためにベビーシッタ ーを雇う家庭への手当(ただし養育者 が双方とも(片親の場合は1人)が働 いている場合のみ)
・ファミリーデイケア
 チャイルドマインダーが自宅でチャイルドケアを引き受ける、自治体のサービス。未就学児と、学校に通う子どもたちの放課後の世話をし、両親の都合に合わせて利用される。
・在宅保育サービスは、公的制度として認めておらず、料金が高いため、利用できる親は限られている。・チャイルドマインダー
 保育所同様に、利用料は原則親の負担であり、保育所とチャイルドマインダー合わせても、10数%の利用率にとどまっている。
・親が私的に契約を行って雇用するベビーシッターの利用が進んでいる。
・家庭的保育は、自宅で他人の子どもを預かる仕組みで、州に登録して1つの家庭で6人程度の子どもを預かるものである。
資料:「海外情勢白書 世界の厚生労働2004」(厚生労働省編)等を基に内閣府少子化対策推進室において作成。
 注:各国の為替レートについては、日銀報告省令レート(2005年9月分)により換算。

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スウェーデンの保育サービス

スウェーデンは、ヨーロッパの主要国で最も充実した保育サービスを提供している国の一つである。

保育サービスはわが国の市町村に相当するコミューンが所管している。

5歳までの子どものうち、保育所で35.2万人が、家庭型保育等で約3.3万人(いずれも2003年)がそれぞれ保育サービスを受けている。

これらの保育サービスを受けている者の人口に対する割合は1〜5歳で82%であり、いわゆる待機児童はほとんど解消していると言われている。

また、個別保育として、ファミリー・デイケアーがコミューンの実施責任の下で実施されている。

これは、最寄りの場所に保育所が存在しない場合等に、保育所の機能を代替する等の役割も果たしている。

こうした様々な保育サービスの充実が、仕事と家庭の両立を現実的なものにしている側面があるものと言える。

 

<スウェーデンにおける保育所等に入所している児童の割合(2003年)>
年齢
保育所
家庭型保育
総数
1歳
40%
5%
45%
2歳
79%
8%
87%
3歳
83%
8%
91%
4歳
88%
8%
96%
5歳
90%
7%
97%
総数
75%
7%
82%
資料:Swedish Institute“Childcare in Sweden”

ただし、スウェーデンでは0歳児保育はほとんど見られない。
それは、1歳くらいまでは育児休業の取得や短時間勤務で対応することを前提としているからである。
なお、保育所子どもの生活の場と教育の場を提供するという機能を果たしている。
後者の機能も重視する観点から、1996年より社会省から教育省に移されている。

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保育サービス

わが国では、保育サービスとして、認可保育所が主たる役割を果たしてきた。

また、幼稚園幼児教育を行う教育機関としての役割を果たしている。

主要国の状況を見ると、待機児童が解消したと言われるスウェーデン、家庭保育が充実しているフランスなどで際だった特徴が見られる。

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ドイツの取組

ドイツでも多様な働き方を実現するための取組みが行われている。

例えば、超過勤務縮減につながる制度として労働時間貯蓄口座制度がある。

これは、所定内労働時間と異なる場合に、時間外手当等によって金銭的に精算せずに、中長期的にプラスあるいはマイナスの債権として各労働者の労働時間貯蓄口座に記録していく制度で、プラスの債権は休日として、マイナスの債権は勤務として相殺することができる。

2001年4月時点で、労働者の26%が同口座を利用しており、労使からも評判がよい。

また、ドイツの企業の約4分の3は、何らかの柔軟な労働時間制度があり、導入状況をみると日・月・年単位での柔軟な労働時間制58.0%、一時的なパートタイム労働制40.4%、在宅勤務7.8%等となっている。


ただし、働き方の見直しが進んでいるにもかかわらず、出生率の回復がみられないのは、女性の労働力が上昇する中で、後述するように、保育をはじめとした仕事と子育てを両立できる環境が十分に整っていないことによるのではないかと考えられる。

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仕事と生活の調和

イギリスでは、仕事と家庭生活の両立は重要な課題であり、特に、両立が困難な低所得世帯への支援が重要とされてきた。

イギリスのブレア政権は、2000年から「仕事と生活の調和キャンペーン」を始めている。

「仕事と生活の調和」(ワーク・ライフ・バランス)を進めることにより、労働者にとっては生活の質の向上につながり、企業にとっては競争力を高め、業績向上につながるとしている。


2000年3月から開始された「ワーク・ライフ・バランス運動」の内容を具体的に見ると次のとおりである。


国民に対する啓発運動の他、仕事と家庭の両立に資する対策を導入し、成功した企業の実例を政府が集め、一般企業への情報提供によって同様の取組の普及を図っている。

特に、運動の当初には、「チャレンジ基金プログラム」を実施し、仕事と家庭の両立策の導入を検討している企業に対して、無料の経営コンサルティングが提供され、2000年から3年間に、1,150万ポンド(約22.5億円)の公的資金が投入された。

プロジェクト実施期間中に、計448企業がコンサルティングを受けている。


さらに、仕事と生活の調和を下支えするための条件整備として、パートタイム労働における同一労働・同一賃金の義務づけ、出産休暇の延長、父親休暇の創設、児童給付の引き上げ、児童税額控除制度の創設、保育所の整備等、様々な施策を講じている。


仕事と生活の調和策は、出生率の向上を直接の目的としているものではないか、近年のイギリスの合計特殊出生率の水準(1.7程度)をみると、働きやすい環境の整備が結果として出生率の回復に寄与しているのではないかとみられている。

 

<イギリスにおけるワーク・ライフ・バランスを実現させるための制度(休業及び労働時間に関して取得が保障されている制度)>


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労働時間の短縮

ヨーロッパでは、労働時間の短縮が進められている。

その方法として、

〔1〕パートタイム労働の増加、

〔2〕パートタイム労働等の非正規雇用と正規雇用の均等待遇対策、

〔3〕採用、訓練、昇進、労働条件等における男女平等を保障することが挙げられる。


その中で、労働時間そのものの短縮を行っているのがフランスである。

フランスでは、「週35時間労働法」(1998年公布。2000年施行)に基づき週35時間労働という労働時間の短縮が行われており、これが出生率の回復に効果を上げているのではないかと言われている。

また、労働時間の短縮により、ワークシェアリングを通して雇用の創出を促すとともに、仕事と生活の調和が可能になるというメリットが指摘されている。


その結果、家庭での時間を持つことができるよう、男性を含めて帰宅時間が早くなっている。

例えば、スウェーデンでは、男女とも約7割が平日でも午後6頃までに帰宅しているのに対して、わが国では男性の61.4%、女性の5.5%が午後8時以降の帰宅となっている。

特に、男性では午後10時以降の帰宅が30.0%にのぼる。

そのため、平均帰宅時間(家にいることが多い者等を除く)はわが国では、男性が午後8時49分、女性が午後6時52分であるのに対して、スウェーデンでは男性が午後5時11分、女性が午後4時37分となっており、仕事と家事・育児の両立、すなわち家事や育児を十分行うことができる帰宅時間が実現している。

なお、フランス(パリ)の場合でも、男性の半数は午後7時頃に帰宅をし、女性の半数は午後6時頃に帰宅をしている。


<平日の帰宅時間>


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働き方の見直し

仕事と家庭の両立は、休業制度の整備だけではなく、実際に働いている者が、家庭との両立が可能な働き方を実現させていることが重要である。

わが国では、「職場優先」の生活スタイルや昨今の経済情勢等から、20代・30代の若い男性層を中心に仕事の負担がかかり、子育て期の労働者の労働時間が長い(帰宅時間が遅い)ことが指摘されている。

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出産時の休業制度−「父親休暇」の制度化に格差

育児休業の他に、出産時の休業制度として、出産休業がある。

わが国は出産予定日前6週間、出産後8週間の合計14週間となっているが、主要国ではアメリカ以外で制度化されている。


休業の期間は国により異なり、最も長いのはイギリスの予定日前・出産後合計で52週間である(これは実質的に他国の育児休業の役割も果たしている)。

次いでフランスの予定日前6週間、出産後10週間(合計16週間)となっている(子どもの出生順位、複産等の場合には期間が延長される)。

ドイツとスウェーデンではそれぞれ、予定日前6週間、出産後8週間、出産前後各7週間の合計14週間と、日本と同じ期間になっている。


出産休業は出産する者、つまり女性を対象とした制度であるが、対応する男性の制度(男女とも取得可能な育児休業とは別の制度)として「父親休業」がある。

この制度化には各国間で格差があり、フランスとスウェーデンでは、後述する手厚い家族政策を背景に、「父親休業」としてそれぞれ11日、10日間取得できる。イギリスでは従来この制度がなかったが、後述する「ワーク・ライフ・バランス」の動きを背景に、2003年から1週間〜2週間の「父親休業」が取得できるようになっている。

なお、わが国では労働基準法に規定する年次有給休暇以外の休暇として、配偶者の出産の際に男性労働者に与えられる配偶者出産休暇を導入している事業所は33.1%にとどまっている(厚生労働省「平成14年女性雇用管理基本調査」)。

 

<出産休暇の各国比較>
事項
日本
フランス
スウェーデン
ドイツ
イギリス
アメリカ
出産休暇の概要
(期間等)
○休暇期間
 産前6週間 + 産後8週間
○第1子、第2子
 産前6週間 + 産後10週間
○第3子以降
 産前8週間 +産後18週間
○双子の場合
 産前12週間+産後22週間
○休暇期間
 出産前後各7週間
○休暇期間
 産前6週間+産後8週間、母親の就労禁止
○休暇期間
 母親に出産後最大1年間
(最初の6ヶ月は休業給付つき、その後の6ヶ月は休業給付はなし)
 
  出産休暇中の手当○なし
 ただし、健康保険法に基づき、出産手当金として、標準報酬日額の60%を支給
○出産休暇手当
 家族給付全国基金が休暇前賃金の80%を支給
 ○母性手当
 1日につき、就労禁止期間の開始前3ヶ月間の平均手取日額(母性手当)が支給される。疾病金庫からは1日13ユーロ(約1,700円)、連邦保険庁からは、総額210ユーロ(約2万8千円)が上限。
 休暇期間中は平均賃金相当額が使用者から支払われ、母性手当を受給した場合には、その額が控除される。
○最初の6ヶ月は休業給付つき、その後の6ヶ月は休業給付はなし 
出産時の父親休暇○統一した制度はないが、配偶者出産時の休暇制度を就業規則等に規定している例もある。たとえば、国家公務員の場合には、妻が入院等の日から出産後2週間までの間に、2日の範囲内で休暇をとることができる。○出産後11日間(双子の場合は18日間)出産から4ヶ月以内に取得 ○出産時の休暇は、制度化されていないが、両親休暇を取得できる。○子どもの誕生から8週間以内に2週間の休暇

○休業給付は、事業主が週100ポンド(約2万円)支払う。
 
資料:「海外情勢白書 世界の厚生労働2004」(厚生労働省編)等を基に内閣府少子化対策推進室において作成。
 注:各国の為替レートについては、日銀報告省令レート(2005年9月分)により換算。

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女性の労働力率と合計特殊出生率

男女共同参画会議の「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」の報告書「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」(2005年9月)によると、OECD加盟24か国(1人あたりGDP1万ドル以上)においては、2000年の女性労働力率と合計特殊出生率は、労働力率の高い国ほど出生率が高いという正の相関関係にある。

しかし、1970年には、出生率と女性労働力率とは負の相関関係にあり、80年代の半ばを境に関係が変化している。

同報告書では、このことから女性労働力率と出生率の関係は、どちらかが上がれば他方も上がるという固定的な関係にあるのではなく、両者に関係するような社会環境(施策・制度・価値観等)があり、この30年間にこれらが変化したものと推測される、と指摘している。


2000年現在で、日本よりも女性労働力率及び出生率とも高いアメリカ、ノルウェー、デンマーク、オランダの4か国は、1970年には日本よりも女性労働力率が低い国々であった。特に、ノルウェーとオランダは30%台と低く、男性の片働き社会であった。

これらの国々が、女性労働力率が高くなる一方で、高い出生率を維持しているのは、70年代以降、女性の社会進出が進む過程で、男性を含めた働き方の見直しや保育所 整備、男性の家事・育児 参加等の固定的性別役割分担の見直し、雇用機会の均等など、女性が働くことと子ども を生み育てることを両立し得る環境を整備してきた結果と考えられる。

 

<OECD加盟24か国における女性労働力率と合計特殊出生率:1970年、1985年、2000年>


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スウェーデンの育児休業中の所得保障と代替要員の確保

スウェーデンで育児休業制度が機能している背景として、所得保障制度(休業中の賃金の保障)の充実や、休業そのものを取得しやすくする体制(代替要員の確保等)が整っていることを挙げることができる。


まず、所得保障制度であるが、スウェーデンでは、両親保険(1974年に導入された育児休業の収入補てん制度。

財源は、事業主が支払う社会保険拠出による)から休業中の最初の390日間は賃金の80%、その後の90日間は定額の手当を受給することができる。

390日間のうち、パパクオータ・ママクオータ(配偶者に譲ることができない休業日数)として、父親・母親のそれぞれが60日ずつ取得でき、両親が譲り合える日数としてはそれぞれ135日ずつある(多くは父親の分を母親が使う)。

連続してとる必要はなく、また、全日でとる必要もない。


両親保険からの高率の給付に加えて、スウェーデンの企業等では独自の上乗せ給付を行っているケースが多く、24.4%の事業所でこれが実施されている。

最大90%までの事業所が最も多いが、最大100%以上を支給している事業所もある。


次に、従業員が育児休業を取得した場合の職場の対応を見ると、わが国では、代替要員を確保しない例が多いが、スウェーデンの事業所では「臨時契約社員を雇う」というケースが74.4%を占めている。

「業務を分担する」も54.2%あるが、複数回答であることを考慮すると、残りの職員だけで対応するよりも、業務を分担しつつ、臨時社員を雇用して対応する場合が多いものと思われる。

また、休業者に対して休業期間中の連絡を電子メール等で行っている事業所も多く、短時間勤務制度やテレワークの利用も多い。そして、育児休業の利用に対して、スウェーデン社会では、否定的な評価がほとんど見られない。

こうした育児休業制度の利用を容易にする体制が整備され、利用しやすい職場の空気があることが、従業員に育児休業の取得やその後の働き方について大きな不安を持たせないことにつながっている。そうしたことが、高い育児休業の取得率につながっているものと思われる。


<育児休業中の所得保障(80%)への上乗せ(スウェーデン)>


<育児休業中の空きへの対応(複数回答)>


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スウェーデンにおける取得率の高さ

育児休業の取得状況を見ると、国により様々な状況がうかがえるが、スウェーデンでは、特に高くなっている。

スウェーデンの育児休業取得率は、女性では8割強、男性では8割弱と、男女とも高く、また、事業所の形態(公的機関、民間企業)を問わずに高い。

わが国の育児休業の取得率(2004年度調査では、女性70.6%、男性0.56%)と比較をすると、特に男性においてはるかに高い水準となっている。

ただし、スウェーデンの男性の場合、取得した期間は短いため、日数ベースでは両親が取得した育児休業日数の中で、男性によるものは10%強である(スウェーデン政府資料による)。


スウェーデンの女性の労働力率は日本よりも高いが、その理由として、出産しても育児休業により雇用を継続して離職をしない結果、労働力率が高いということができる。

図のとおり、子どもを生み、育てる時期に入る人が多いと思われる25〜34歳の女性の労働力率を見ると、スウェーデンでは81.6%であり、わが国の68.4%を約13%ポイント上回っている。

労働力率の計算の元になる労働力人口は、現に就業している従業者、失業者、休業者に分けられるが、スウェーデンでは、休業者の割合は20.1%であり、これを除いた割合で見ると、わが国との差は小さくなる。


つまり、スウェーデンでは休業者の存在が相当に女性の労働力率を押し上げており、その背景には、育児休業制度がうまく機能していることがあげられる。

日本と比較をすると、「多く生んで、多く休業する」という状況にある。

こうして、仕事と育児との両立や、育児休業後の復職が円滑に行われているものと考えられる。


<スウェーデンの育児休業取得率>



<25〜34歳女性の労働力率(2004年)>

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