コラム 各企業の先進的な取組
(1)ワーク・ライフ・バランスの推進
企業における働き方の見直しの大きな流れの一つに、「ワーク・ライフ・バランス」(生活と仕事との調和)という取組がある。
もともとはイギリスで始まった取組であるが、日本でもその考え方が広まりつつある。
企業例としては、(株)資生堂などの大企業で取組が進められており、日本IBMやP&Gといった外資系企業のように、アメリカ本国でのダイバーシティー(多様な働き手に合わせ、働く環境も多様で柔軟な仕組みにする)という考え方が定着している企業においては、早い段階からワーク・ライフ・バランスという取組が進められている。
ワーク・ライフ・バランスとは、単に子育てしている社員だけを対象にしているのではなく、全ての社員が、労働時間の見直し等によって仕事と生活との調和を図る(個人の生活を充実させる)ことが、生産性の向上や企業の業績向上につながっていくという考え方である。
(株)資生堂では、2005年4月から始動した次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画に、「『ワーク・ライフ・バランス』実現をめざすアクションプラン」というサブタイトルを付けているように、ワーク・ライフ・バランスを最も重要な柱として取り組んでいる。
ワーク・ライフ・バランスを推進する観点から、働き方を徹底的に見直すということで残業を禁止している企業もある。
それは、「毎日がNO残業デー」のトリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)であり、社長の強いリーダーシップの下、効率的な経営・スピード経営という点から全社的な生産性を上げるために取り組んでいるものである。
社員の満足度の向上、女性をはじめとした社員の定着率アップ、そして、何よりも企業の業績が向上しているということである。
(2)育児休業等の休暇を取りやすくする取組
育児休業によって昇格が遅れたりすることがないような人事制度を導入することで、育児休業を取りやすくしている企業としては、(株)リコーやNTTコミュニケーションズ(株)がある。
また、ソニー(株)では、育児休業中に在宅で仕事をできる制度を全職種に導入している。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)では、育児等に従事している社員を対象に、育児休業としてではなく、年間20日までの在宅勤務を認めている。
また、秋田県にある社員約30人の(株)カミテは、子どもが病気の時の1時間単位の看護休暇、妻の出産時に男性社員が5日間とれる特別有給休暇、事業所内託児所を無料で利用可能にするなど幅広い子育て支援を行っている。
(3)年次休暇の利用促進の取組
休暇をとりやすくして、従業員の育児や介護などを支援することを狙いとして、労働基準法では2年間で消滅する「年次有給休暇」を独自に100日まで積み立てることができる制度を大和ハウス工業(株)が2005(平成17)年度から導入している。
労働基準法によると、その年に有休が未消化だった場合、翌年まで繰り越すことができ、労働者が1年間に消化できるのは40日までとされているが、同社では法定日数に上乗せする形で、翌々年以降の繰り越しも含め、通算100日まで認められる。
法定日数と合わせて最大で年140日の有休休暇が取得可能である。
(4)出産一時金などの祝い金の支給
高額の出産一時金を支給している例がある。育児 用品メーカーであるコンビ(株)では、第1子または第2子の誕生に対して50万円を支給、第3子以降では200万円という高額の一時金を支給する制度を持っている。
また、三洋電機(株)では、出産時一時金(第1子50万円、第2子70万円、第3子90万円)のほか、子どもの成長に合わせ、入園、入学時の節目においても50〜70万円を支給している。
大和ハウス工業(株)では、社員に子どもが生まれた場合、1人あたり一律100万円の一時金を支給する仕組みを導入しており、第1子、第2子等の区別がないことが特徴的である。
(5)再雇用、パート労働者の処遇改善等
積水ハウスリフォーム(株)は、50歳までの女性を対象に、将来の正社員採用を前提にした契約社員制度を導入しており、主婦経験者の活用を進めている。
(株)損害保険ジャパンでは、育児休業中の社員の仕事を、退職した元社員が職場復帰してカバーする「OB・OG登録制度」を始めており、経験者を活用することで専門的な仕事にも効率よく対応できるようになっている。
また、スーパー大手のイオン(株)では、全社員の8割を占めるパート社員を正社員と統一基準で評価することで、賃金や人事などに反映する仕組みを導入しており、これにより、出産・育児等でパート社員になった場合でも、人材登用の機会に差がつかないことになる。
(6)事業所内託児所
(株)資生堂では、本社内に「カンガルーム汐留」を開設し、その利用促進を図っている。
2004(平成16)年度の月平均の在籍人数は約19名となっており、年度途中などいつでも入所が可能であること、インターネットカメラなど安心して預けられる環境が魅力的であるということである。
日産自動車(株)は、神奈川県にある研究開発センターに、定員40名、利用時間も午前7時半〜午後10時までという託児所「マーチランド」を開設し、現在定員の半数近くの利用が進んでいる。
また、新生銀行では本社内に「日比谷キッズ」という事業所内託児所を2003(平成15)年9月から開設している。利用時間も通勤ラッシュを避けるため午前8時から午後7時まで(午後9時まで延長可能)となっており、一日平均12〜13人が利用している。
文部科学省では、2001(平成13)年10月から霞が関初の取組として文部科学省のビル内に「かすみがせき保育室」を開設している。
現在(2005年10月時点)、22名が利用し、利用者は、文部科学省の職員が9名、他は、他省庁、民間企業に勤務している者となっており、霞が関近辺に働く人々に幅広く利用されている。
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