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市区町村における出生率の地域格差
全体的な出生 率低下の中で、1990(平成2)年から2000(平成12)年の10年間で出生 率が上昇していると推定される市区町村が約330あり、その中で、人口規模が1万人以上の自治体は70弱ある。
そこで、出生 率が上昇している5つの自治体(兵庫県五色町、愛知県日進市、静岡県長泉町、秋田県鹿角市、香川県白鳥町)と同じ県にあって低下している5つの自治体を比較調査対象とした「出生 率の地域格差に関する研究」(財団法人こども未来財団の「平成15年度児童 環境づくり等総合調査研究事業」)によると、興味深い結果があらわれている。
それによると、出生 率が上昇している地域においては、次のような特徴がある。
〔1〕人口増加あるいはその努力を行っている自治体であること。
自治体内あるいはその周辺部で経済活性化があり、自治体主導あるいは市場を通して若年夫婦 向けの良好な住宅が供給されることで、家族形成期の人々の転入がみられ、地域の未婚化傾向に抑止効果が働いていること。
たとえば、五色町(合計特殊出生率が1990年の1.72から2000年には1.82に変化)は、「健康・福祉」、「情報化」施策が全国的に高い評価を受けており、企業誘致や若者定住団地の建設を行いつつ、分譲地を購入して自宅を建設、住民票を移した場合に給付金支給等の施策を講じている。
〔2〕地方自治体が地域の実情にあった育児支援 策を実施しており、育児支援 ニーズに的確にこたえる姿勢があること。
たとえば、日進市(同1.40から1.42に変化)の場合、子ども の数の増大に対応して保育 所の定員数や職員数を増やし、待機児童 が出ないようにするほか、ほとんどの幼稚園 では、17時から18時頃まで時間延長を行っている。
〔3〕地域の人々は、それらの育児支援制度や施設を積極的に活用し、その地域を子育てしやすい環境としてとらえられていること。
たとえば、長泉町(同1.62から1.72に変化)の場合、企業誘致が進んだことから職住接近の生活が可能となっており、保育所 ・幼稚園 への送り迎えが容易となっていることや、乳幼児医療費が就学前まで無料であることや保育所の入所待機児童を出さない対応などから、近隣と比較して子ども を育てやすいというイメージを確立しつつある。
この研究によれば、地域経済の特性や地域社会の地理的条件、さらには経済政策や住宅施策等によって、就業機会 が左右され、人口増減が生じるが、基本的に20代、30代という家族形成期の人口を吸引する地域社会としての力があれば、未婚率の上昇が抑えられ、そこに適切な育児支援 策が投入されれば、出生率 は上昇する。
したがって、地域社会の活性化とともに、地域住民のニーズにあった次世代育成支援の充実が、出生率 回復のポイントである。
(平成16年版少子化社会白書より抜粋)
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